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そのまま、ゆるゆると時間は流れていった。毎度の如くじゃんけんで負けた奴が奢らされて泣きそうな顔をして財布を開く。俺がいつも通り二次会を断ると、Aも可愛らしい笑顔で二次会を断っていた。
夜の空気はヒンヤリと冷たくて、酒でほてった頭がスッと冷えていくのが分かる。人の少ない道路はなんだかいつもと違う世界に俺たちが2人で迷い込んでしまったように思わせるくらい、静かだった。
「美味しかったねぇ、串焼き」
「よう食べたもんな。気ぃ付けんとお前また太るで？」
「分かってます！だから最近、ジムに通っているのだよ」
「へぇ、今回は７日坊主で終わらんとええなぁ」
「ふはは、残念だったなシャオちゃん！私は既に一カ月はジムに通っている！」
シャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワ
蝉の声がやけに五月蝿くて、喉の奥に不快感がこべりつく。生暖かい空気に毛穴から汗が染み出して、気持ちが悪くて仕方がなかった。
「マンションの前まででええ？」
いつものようにAを送って行こうと、さりげなくAに問うた。嬉しそうに笑って、返事をしようと頷こうとしたであろうAのケータイが小さく震える。
「ごめんねシャオちゃん。弟達が迎えに来てくれるみたいだから、今日は駅までで大丈夫。いつもありがとうね」
「そっか、ならしゃあないよなぁ。弟君駅まで来んの？」
「うん、改札の辺りで待ってるって。飲み屋まで迎えに来ようとしていたみたいだけど、シャオちゃんともう少し話していたいし、断っちゃった」
そう言って、天使はヘニャリと笑った。
わざわざ迎えに来る過保護な弟君の気持ちが少しだけ分かる気がした。小さくてか弱くて、風に吹かれては散ってしまいそうに儚いAを一人で帰らせるだなんて、とてもできないと思わせてしまう程度には、Aは守らねばならないような、そんな拙い存在だった。現に俺がこうやって送っているのも、Aを1人にするのが心配だったから。
Aの弟の気持ちがわかってしまう反面、その分顔も知らぬ弟君に小さな苛立ちを感じているのも確かだった。
俺よりもAに優先された弟君はさぞ愛されているのだろう。
「…じゃあ、今日はありがとね、シャオちゃん。また来週、大学で」
「おん、またな」
改札の向こう側で笑いながら手を振るAの後ろで心底冷たい目を向けてくる弟であろう男に小さく笑いかけてから、俺は家へのバスに乗り込もうとバス停へ走った。
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雨蛙躑躅(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます！作者、最近リアルが中々に多忙でございまして作品の更新が遅れ気味です💦待たせてばかりになってしまって本当に申し訳ないです🙇どの作品も最後までしっかり書き上げますので、これからも応援していただけると嬉しいです！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです…！！即ハート押しました…！！大変だと思いますがこれからも更新頑張ってください！！作者さんの作品、いつも見てます！！ (5月2日 5時) (レス) @page7 id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年3月12日 19時
