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いつもの居酒屋。狭い店内では割と邪魔なくらいには騒がしいサークルメンバーの隅の方でAとチマチマ酒を飲んでいた。サークル内での中心的な奴とは大して仲良くも無いため、飲みに誘われたってたいして話すわけでも無い。
それでも毎回俺が呼ばれるのは、俺が出席しないと、Aと一緒に飲みにすら行けないからだろうか。
「んふふ、もう酔ったの？相変わらずシャオちゃんはお酒弱いなぁ。お水飲んで少し休みなね？無理しちゃだめだよ」
いつもよりも、心なしかふわふわと蕩けた声色で笑うAは、随分可愛い奴だと思う。俺が行かないと断った飲みには絶対に行かないし、俺が出席する時は絶対についてくる。あの陽キャも、それが分かっているから必ず俺を誘うのだろう。正直、割と飲み会は楽しいし、何より向かいに座っているのにAに話しかけることすら出来ずに苛立っているソイツの顔は見ていて随分楽しい。酒が進む。
「シャオちゃん、それ私の串だ、食べないで！」
「あー、食べちゃったわ。ごめんなぁ」
「思って無いな？その顔は！」
シャオちゃん。酔った時にだけAの口から溢れる甘美な響き。それが存外心地良くて、酒で惚けた脳内に甘い痺れが走ったような感覚に震える。酒の回った頭は、あまり思考するには向いていないらしい。今はただ、Aが可愛くて、愛おしくて、視界がA一色に染め上げられてゆく。
「あれ、シャオロンに食べられちゃった？俺の一本あげよか？Aちゃん」
「いいんです、宇都宮君。シャオちゃんから一本奪い取りますから！」
「そーお？そら残念やね。食べたくなったらまた言ってや、Aちゃん？」
宇都宮大。同じサークルの陽キャ。お世辞にも纏っとるオーラは陽とは言えないが、よく女にモテるウザったらしい奴である。
お前は横にいる香水のキッツイ女でも口説いとれバーカ！なんて子供みたく心内で悪態をついてから、馬鹿みたいに宇都宮に笑いかけるAの口に鶏皮を一本差し込んでやった。嫉妬深くて悪かったな。
「あ、せや。せっかくやし連絡先交換せぇへん？ほら、わざわざ飲み会伝えに行くの大変やんか」
「確かに、今までわざわざすみませんでした」
「ええって！むしろその度にAちゃんと話せて俺としてはラッキーやったし」
ピコン、と音を立ててAと宇都宮のケータイに互いの連絡先が登録されたのが分かった。面白くないだなんて、俺はAの彼氏でもない癖に何を。
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雨蛙躑躅(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます！作者、最近リアルが中々に多忙でございまして作品の更新が遅れ気味です💦待たせてばかりになってしまって本当に申し訳ないです🙇どの作品も最後までしっかり書き上げますので、これからも応援していただけると嬉しいです！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです…！！即ハート押しました…！！大変だと思いますがこれからも更新頑張ってください！！作者さんの作品、いつも見てます！！ (5月2日 5時) (レス) @page7 id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年3月12日 19時
