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死んだあいつは、ニュースにもならないくらい誰にも必要とされていない無価値な人間だったらしい。
証拠を隠滅してしまえば案外普通に、俺たちは大学生の生活に戻ることができた。
本当に？
「シャオロン、何かあった？」
「いやっ、なんもないで？」
「怪しすぎんだろw、え、何？彼女に振られたんか？w」
「Aは彼女ちゃうわ！！」
「あっ、ふーん。シャオロンさん好きな人に振られちゃった感じですか?そりゃ悩みますわぁ」
「そもそも振られとらんわ！！ちょ、黙れゾム！！」
いつも通りな、何気ない会話。2週間近く大学を休んだことすら言及されなかったため、軽く不安さえ覚える。
本当に、本当にこれで終わりなのか。
「あ、シャオロン君、もう帰るの？」
ゾムの頭を押しのけてぎゃんぎゃん騒いでいると、優しいAの声が聞こえてくる。
「あ、っ、A…」
「あれ、例の彼女か！？シャオロンさーん、何やラブラブじゃないっすかー！」
鬱陶しくも肩を組んでくる俺よりも背の高いゾムに若干の苛立ちを感じつつ、少しだけ、ほんの少しだけ今はゾムの鬱陶しさが嬉しくもあった。ただの犯罪者が普通の生活を送っている。もしかしたら、俺以外にも、こんなふうに犯罪を犯しておきながら堂々と陽の元を歩くようなゴミがいて、俺は今まで、気づかないうちにそういった犯罪者とすれ違っていたのかもしれない。
それが気色悪くて、それに救われている自分すらも愚かしい。
「シャオロン君のお友達…さんですか？どうも、柴崎Aです」
「俺は緑井望です。シャオ…黄瀬紗尾の中学からの腐れ縁ってやつやな。まぁ、気軽にゾムって呼んでください。よろしく」
「よろしくお願いします！あ、そうだシャオロン君。今日サークルの人達で飲みに行くらしいけどシャオロン君は行く?」
「俺？…どーしよ、行った方がええかなぁ」
「何悩んでん、行きゃええやん」
後ろめたさ。ほんの少しと言えば嘘になってしまうくらいには大きな背徳感。人殺し、人を殺した俺が、普通の生活に戻ろうとしている。その事実を、心の中のちっぽけな良心が押さえつけようともがく。
「シャオロン君。もしかして、体調でも悪いの？」
「っえ、いや」
「本当？なら、せっかくだから一緒に行かない？」
小さな天使に手を握られる。冷やかすようなゾムの視線すらも気にならないほどに、恐怖の底に叩きつけられる。
人を殺したにしては平然としすぎているような、そんな天使に微笑まれた。
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雨蛙躑躅(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます！作者、最近リアルが中々に多忙でございまして作品の更新が遅れ気味です💦待たせてばかりになってしまって本当に申し訳ないです🙇どの作品も最後までしっかり書き上げますので、これからも応援していただけると嬉しいです！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです…！！即ハート押しました…！！大変だと思いますがこれからも更新頑張ってください！！作者さんの作品、いつも見てます！！ (5月2日 5時) (レス) @page7 id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年3月12日 19時
