鯨骨生物群集：51 ページ7
「っ、グルッペンのこと、たべたん…？」
消え入りそうな声である。ブルブル震えだすウツに、心底冷ややかな目を向ける。
「あ、やや、なんで…？！？っAはママとはちゃうやろ！？！？AはAなんやから、Aがグルッペンのこと好きになるわけない！？！そうやろ！！なんで食べたん、なんで、っいや、いやや！！！！」
崩れ落ちながら泣き喚くウツの前髪を鷲掴んで、ウツと無理矢理視線を合わせて、Aはにこやかに笑った。
「可愛い、ですね。ウツ兄さ、ﾝ」
「い"っ、？！？」
大丈夫、コイツは人間じゃない。母さんと父さんとは違う。私が捕食者なのだから。大丈夫、人間じゃない。
そう、馬鹿みたいに自分に繰り返し言い聞かせて、ウツを痛ぶりながらその愛くるしさに気色悪いほどに顔を歪める。
「お茶会、楽しかったです。兄さ、けど」
ウツの頬に手を添えて、Aは妖艶に笑った。
「私の命令に、背いちゃ、ダメ、デしょう？」
「っ、Aちゃ、」
「兄さん、私ね、ずっと、何も分かっていなかったンです。ただ、意味の分からない環境に困惑して、歪で拙い自分自身に頭を抱えて。皆んなに気色悪いホﾄﾞに愛されて、愛し返していたんデす」
ウツの前髪を強く引いた。ぶちぶちと音を立てて、濃紺の艶のある髪が抜け落ち、Aの手に纏わり付いた。
「でも、母さんが私に、生まれたばかりの頃に、そう言えば言っていたんです。…そっか、Aは、捕食者だったのですか。んふ、ふはっ、何を怯えていたのだろう！！可愛い、馬鹿みたいに未熟な赤子しかここにはいない！！愛すべきマザー、母さん、私はとうにアノヒト以上に母さんだった！！ウツ兄さん、怯えて泣き叫びながらも貴方を包み込む妹の模範のようなAはもういない！母さんを食べて、父さんを食べて…私はしょっぴやチーノよりも確立した個人であると言える、そうは思いませんか！？！？ねぇ、兄さん！！！」
ウツの白い首に小さな両手を這わせて、Aは叫んだ。そんなAに、心底、まるで恋に堕ちたとでも言わんばかりに幸せそうに顔を歪めて、ウツは笑う。
「あ''、は♡だがら"、だ、べだっ、んやね"。」
汚い声だと嘲笑った。
ウツがAになったのなら、ウツもまたAである。それでもウツが命令しないのは、Aに支配されているこの状況に満たされているから。グルッペンの死肉は、Aとウツを本物の兄弟として繋いだと言えた。
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雨蛙躑躅(プロフ) - 七瀬。さん» 温かいお言葉をありがとうございます！！色々と多忙な時期でして、時間の合間を縫って書いているような状況ではございますが、最後まで頑張ります！！コメント、本当にありがとうございます！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬。(プロフ) - すっごくすっごく面白いです！！！！この作品本当に大好きです！！作者さんの作品がどれも大好きです！！これからも頑張ってください！！ (5月2日 5時) (レス) id: 600689a398 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - えー、コメント返信の仕方を漸く理解いたしました！！遅くなって本当に申し訳ございません🙇♀️コメント毎回楽しく読ませてもらっています！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - ロリコン女さん» コメントありがとうございます！推していただけるだなんてものすごく嬉しいです！この作品は割と世界感や流れを考え抜いてから産んだものなので、そんな風に言っていただけるだなんて、とても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコン女 - とても、とても好きです。文の書き方とか、きちんとキャラに沿って表現されてたりとか、体の機能を力として綴られてたりとかするところがもう、ほんとに、好きです。推します。 (2月25日 23時) (レス) id: a814b6a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月23日 21時
