※鯨骨生物群集：62 ページ18
ロボロは、A頭の内側から眼球をもぎ取り、それを口の中に入れて咀嚼した。ゼラチン質の水晶体のこべりついたコラーゲンの塊をゆっくりと味わう。
「うんうん、いいかんじじゃない〜！もー直ったかなｧ？
Aサーｧん！脳味噌についてはあんま俺も詳しくないから、死にそうやったら教えてなァ？」
「ひ、ぇ"あ、っ、ぅお"、っぁ、あ"？！？！」
「もーいいかなぁ？A〜？俺の名前わかるぅ？」
「んえ"、あ"へ、っあ"は」
「んもぉ、ダメやないの。ろ、ぼ、ろ、やろ！あハ、舌の使い方が分からんの？しゃあないなぁ」
酷く惚けた、恍惚の滲むロボロの顔は、液状に崩れたAの脳味噌といい勝負になるくらいにはドロドロに溶けている。顎を支える筋肉に力を入れられないからか、阿保みたいに口を開けて意味もなく喚くAのだらしなく開いた口に指を突っ込んで、それから舌を二本ほどの指で掴み取った。
「ろ、は舌を軽く上につけてからぱっとなして」
「あ"？ぁ、おぉぁ？」
「理解遅いなぁ、ほんまに脳味噌もっとんの？」
舌先を掴み取って口内をぐちゃぐちゃに犯すロボロの指はAの唾液でぬらぬらと濡れた。生暖かい唾液と、脈打つように流れ出る血やら髄液やらでべちゃべちゃに汚れたAに、言うまでもなく命の鼓動を感じる。頭の中でドクドクと響く自身の脈拍にどれだけ死が近づいたのかA自身も分かっているのだろうが、再生しかけの脳としての機能を果たしていないタンパク質と脂質の塊にはそれを処理することができない。口の中の異物になす術もなく息を吐いて喘ぐように唾液をこぼしている。余りにも強すぎるニアデスに軽く生体反応さえ消えかかるAの頬を何度かぺちぺちと叩いて、それから細胞分裂でまた少しずつ形を取り戻したAの真っ白な可愛らしい眼球にロボロはぬったりと舌を這わした。
「っひゅ、ぁあ"？に、さ。あ"、？なん、こんな…」
「あ"は、なんやもーなおったんか。んーでも俺らと比べるとだいぶ遅かったのは、Aの方がより人間に近いからかなァ？俺らなんて細胞分裂したらいくら細切れにしても生き返るしなぁ、アは。よわっちぃなぁ」
プラナリアか何かなのか。細切れにしても生き返るだなんて最早ヒトモドキというより幹細胞の集合体に等しい。そんなロボロに再生しつつある薄い幕の張った頭部の割れ目を撫でるように触られてゾクりと全身が粟立った。
「ひ、ぁ、や、やだ。やだ…」
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雨蛙躑躅(プロフ) - 七瀬。さん» 温かいお言葉をありがとうございます！！色々と多忙な時期でして、時間の合間を縫って書いているような状況ではございますが、最後まで頑張ります！！コメント、本当にありがとうございます！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬。(プロフ) - すっごくすっごく面白いです！！！！この作品本当に大好きです！！作者さんの作品がどれも大好きです！！これからも頑張ってください！！ (5月2日 5時) (レス) id: 600689a398 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - えー、コメント返信の仕方を漸く理解いたしました！！遅くなって本当に申し訳ございません🙇♀️コメント毎回楽しく読ませてもらっています！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - ロリコン女さん» コメントありがとうございます！推していただけるだなんてものすごく嬉しいです！この作品は割と世界感や流れを考え抜いてから産んだものなので、そんな風に言っていただけるだなんて、とても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコン女 - とても、とても好きです。文の書き方とか、きちんとキャラに沿って表現されてたりとか、体の機能を力として綴られてたりとかするところがもう、ほんとに、好きです。推します。 (2月25日 23時) (レス) id: a814b6a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月23日 21時
