※鯨骨生物群集：61 ページ17
筋肉の程よく着いた腕で、ロボロはAの細い首をすっぽりと覆ってしまった手のひらにギリギリと力を込めた。A柔らかな首の皮膚が沈み込んで舌骨に食い込む。気道を押しつぶすように、その華奢な首を手折るみたく、ロボロは腕に力を込めた。
「は、あは、大丈夫。怖ないよｫオ、だ、大丈夫、すぐに直してあげるからぁ、アは、A、A」
白目を剥いて、はくはくと口を動かすAはさながら金魚であった。阿保みたいに涎を垂らしてビクビクと痙攣しながら綺麗に整えられた爪でロボロの腕を掻きむしる。頭が酷くホワホワと浮き立って、意識がズブズブと沈み込んでゆく。
ロボロが手を離すと、Aがごとんと音を立てて地面に転がった。ヒクヒクと引き攣る瞼にヒュッヒュッとか細く不規則に息をするAの前髪を鷲掴んで顔を無理に引き上げる。白目を剥いて泡を吹く無様なAモドキを嗤って、それから割れた盗聴器の部品の一部…その鋭利に尖った先をAの頭目掛けて勢いよく振り下ろした。
ずぶり、と皮膚とその下の肉に食い込んで、それから薄っぺらい頭蓋骨に止められる。何度も何度も振り下ろして、骨を砕いて穴を開けた。何度もAの髪の生え際に添わすようにして振り下ろしてロボロはAの頭蓋骨を砕いた。
大丈夫、これくらいでAは死んだりしない。Aを殺して治さなければならないのだから、顔が同じなだけの偽物に同情なんかしてられない。
そしてパックリと一直線に筋の入った可愛らしいAの頭蓋骨に手を突っ込み、それから左右に引っ張るようにして無理矢理開く。淡いピンク色の脳味噌が露出する。愛しい少し血濡れたそれに、ロボロは躊躇することなく右手を埋めて掻き回した。
「っひ、あ"っ！？ぇお"、あ"、や"だぁ、ぃっお"」
「んー、これが大脳で、中側頭回…で、アは、ブローカ野やんか。どうせテメェの言葉に意味とかないし要らんよなぁ？コレ。ウェルニッケ野とか偽物の癖に一丁前に持ってんじゃねーよ腹立つわぁ」
「あひ、あ"、あ''、っ、あ"、やだ、ぁあ''！？！」
ごちゅごちゅと頭の中から響く音に内側から直接顔の神経が刺激されて頬周りがヒクヒクと痙攣する。じゃばじゃば溢れ出す透明な髄液が水中に溶けた。
無駄に脳味噌を掻き回されたせいでおじゃんになった頭では体を動かすことは愚か、言葉すら発することはできなくなった。ただひたすらに痙攣して、獣のような汚い叫び声を上げる。
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雨蛙躑躅(プロフ) - 七瀬。さん» 温かいお言葉をありがとうございます！！色々と多忙な時期でして、時間の合間を縫って書いているような状況ではございますが、最後まで頑張ります！！コメント、本当にありがとうございます！！ (5月4日 8時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬。(プロフ) - すっごくすっごく面白いです！！！！この作品本当に大好きです！！作者さんの作品がどれも大好きです！！これからも頑張ってください！！ (5月2日 5時) (レス) id: 600689a398 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - えー、コメント返信の仕方を漸く理解いたしました！！遅くなって本当に申し訳ございません🙇♀️コメント毎回楽しく読ませてもらっています！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙躑躅(プロフ) - ロリコン女さん» コメントありがとうございます！推していただけるだなんてものすごく嬉しいです！この作品は割と世界感や流れを考え抜いてから産んだものなので、そんな風に言っていただけるだなんて、とても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (4月14日 13時) (レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコン女 - とても、とても好きです。文の書き方とか、きちんとキャラに沿って表現されてたりとか、体の機能を力として綴られてたりとかするところがもう、ほんとに、好きです。推します。 (2月25日 23時) (レス) id: a814b6a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年2月23日 21時
