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「ん、こんな感じでいい?」
「うおー!さすが!」
「はい、アイロン返すよ」
「ふへへ。あたし、もう雄登くんがいないと生きていけないや…いつも本当にありがとう」
「……ほら、早くしないと遅刻するよ。朝ごはんまだでしょ?」
「まだ!先に食べてるね!待ってるよー!」
ぱたぱたと彼女が出て行く部屋にはいつも甘い香りが残るから困りものだ。
7つも年上のくせに、やたら無邪気でまっすぐな彼女の言葉にひたすら翻弄される。
雄登くんがいないと生きていけない、って。
どんな殺し文句だよ…。あの人が去った部屋の中で、実は一人でにやけながらもだもだと走り回りたい衝動を抑えています。なんて、誰にも言えない秘密だ。
「雄登くん。遅かったね」
「…なんでパンになめ茸塗ってるの?新しいメニュー?」
「あー…ジャムの瓶と間違えて塗っちゃった…。でもこれは意外と美味しい、しかもあたしでも作れる」
「いや、作るというかパン焼いてなめ茸塗っただけじゃん」
トーストにマーマレードジャムを塗ってかぷりと口に入れる。
7つ上のおねえさん、一人屋根の下、二人で迎える朝。
ラブコメディみたいな展開だけれど、現実はなかなかうまくいかない。
「あたしも雄登くんみたいになんでも出来るようになりたいなぁ」
「………」
僕がなんでもするから君はなんにも出来ないままで良いんだよ。
そんなふうに言えるようになったら、君も僕みたいな子供にでも振り向いてくれるだろうか。
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りつ(プロフ) - しいさん» ありがとうございます嬉しいです!!幸せな気持ちになって頂けるようちまちまと更新していきます〜! (2017年10月2日 8時) (レス) id: 7c91888883 (このIDを非表示/違反報告)
しい(プロフ) - いつも読ませていただいては幸せな気持ちになってます!!これからの更新も楽しみにしています\(^o^)/ (2017年10月2日 2時) (レス) id: ff1ac2d1a8 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - ふーさん» こちらこそお読み頂きありがとうございます〜!短い話ばかりですが少しでも暇つぶしになれば嬉しいです(*^o^*) (2017年8月21日 21時) (レス) id: 49628bd39a (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - りつさんのお話がまた読めて本当に本当に嬉しいです!!!!!!!ありがとうございます!! (2017年8月21日 19時) (レス) id: e57a3c666b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りつ | 作成日時:2017年8月21日 19時