Linaria (ページ10)

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さっきのインターフォンは、オンマが頼んだ宅配便だったらしい。

「はぁ…」

オッパに会えるかも、と期待していた分落胆が大きかった。同じ国にいるのに、近い距離のはずなのに、以前にも増してものすごく遠く感じる。

でも仕方がないよね。本格的なデビューに向けて忙しいんだから。

昔は当たり前のように会っていたから、会えないことが余計に寂しく感じて、ふと我に返る。

これじゃあ、まるで────

「いやいやないって」

「何がないの？」

「うわぁ！」

「なにー、お化けにあったみたいな顔して」

「オンマ〜、びっくりさせないでよ」

「部屋のドア開けたのに気づかないのがいけないんでしょ。ちょっと買い物行ってくるから」

「夕方には帰るね」なんて言って出ていってしまった。

家にひとり。何もすることがない。

本当ならスケートをしに行きたいところだが、オーバーワークになりがちな私を見兼ねたコーチから今日は絶対に休みなさいと言われている手前、リンクに行くなんてもってのほか。

勉強でもしようかと思い高校の教科書を開いてみたものの、なんだか全然やる気が起きない。真凛と話してから、頭に浮かぶのはオッパのことばかり。

だめだめ。せっかくの休日をこんな悶々として過ごすなんて勿体ない。

こういう時こそ身体を動かさなくては、と思い玄関のドアを開けると「うわ！」という男の人の声が聞こえた。

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