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久しぶりに帰った実家で聞いたのは、ミノオッパのデビューが決まったという話だった。
アイドルグループのバックダンサーになったのは知っていたけど、いつの間にか練習生となり、オーディション番組に参加し、紆余曲折あってデビューが決定したらしい。
しかも、事務所はTWICEを擁する天下のJYPエンターテインメント。
以前、テレビ局でTWICEとすれ違ったことがあったけど、溢れ出るオーラと可愛さに一瞬で目を奪われた。大人気グループにも関わらず、私みたいなただのフィギュアスケーターにも挨拶をしてくれて、その人柄にも惹かれたのを覚えている。
その中でも、私が大阪に住んでいると知ったミサモの3人とは仲良くなり、恐れ多くもオンニと呼ばせてもらっている仲だ。
そういえば、JYPといえば人間性を重んじる会社だと聞いたことがある。
────素敵な会社で夢を叶えることができたんだなぁ。
オッパの夢が叶った。とても嬉しいことで喜ばないといけないのに、少し胸が苦しいのはなんでだろう。
「ねえ、真凛は昌磨くんとどうなの？」
-「真凛の話はええって」
「惚気でも聞こうと思ったのに…有名人同士でしょ？大変じゃないの？」
-「有名人なぁ…真凛にとっては小さい頃にボールで遊んでくれたお兄ちゃんやからなぁ。選手として尊敬する面もあるけど、普通の面もあるやんか」
「有名人同士とか、そこまで意識したことはないかな」と言う真凛に、確かになぁと思う。
私たちも代表ジャージを着て試合に挑む時はスイッチが入るが、スケートをしていない時はどこにでもいるただの高校生に過ぎない。
それでも、それは私の場合で。
ミノオッパはアイドル人生が始まったばかりなんだから、邪魔をしたらいけないし迷惑はかけられない。
私と関わることで変な噂が立ったら、オッパのグループにまで迷惑がかかるんだから。
-「…なんか事情があるのは察したわ。でも今はオリンピック、やろ？」
「…うん」
話が途切れたところで家のインターフォンが鳴った。
「もしかして、噂の幼馴染やったりして」
インターフォンの音は電話越しの真凛にも聞こえていたらしい。
「んじゃ！お土産楽しみにしてるなー」なんて言葉とともに通話の切れた音がする。「昌磨くんに頼みなよ」という私の言葉は届かず、独り言となって消えていった。
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作者名：こはる | 作成日時：2024年2月11日 22時
