▼Just talking to you makes my day. ページ7
2018年2月
-「で、その幼馴染とはどうなったん？」
平昌オリンピックを目前に控えた今、私は韓国に帰国していた。
昨年7月から先月まで、3回に分けて行われた代表選抜戦を全て首位で通過し、平昌オリンピックフィギュアスケートシングル女子代表として選出された。
オリンピック前の束の間の休息、久しぶりに帰った実家でゴロゴロしていると、日本にいるスケーター友達から電話がかかってきて冒頭に至る。
「どうって、別に会ってもないし」
-「会ってないの？久しぶりの、感動の再会やんか？」
「ただの幼馴染だからね？」
-「それはそうかもしれんけど」
電話の相手は本田真凛。
異国に住む同い年のスケーターとして、ノービス時代からメディアによって勝手にライバルとされてきた彼女。ポスト浅田真央 vs ポストキム・ヨナの図は世間から見ても面白かったのだろう。当の私たちはライバルというか、良き友だが。
今では、コーチは違えど同じリンクで練習するリンクメイトでもある。
-「あーあ、ええなー。韓国、真凛も行きたかったわ」
彼女は昨年12月に開催された全日本選手権で7位となり、平昌オリンピック代表の座を逃していた。メディアには多くを語らなかったが、電話越しに聞こえた「悔しいわぁ」という言葉が彼女の本音なのだろう。
返す言葉が見つからず、どうしようかと考えていると真凛が「そういえば」と切り出した。
-「空港の動画見たで。やばいなあれ」
「あー、なんか人多かったよね」
-「他人事やん。ほんまにアイドルみたいな扱いよな」
「なんて言うんだろう…そう！動物園のパンダみたいだった」
-「パンダって笑。Aペンから花冠もらって頭に乗せてたやろ？こっちでも話題になってんで」
「Twitterで名前検索してみ？可愛い写真たくさん上がってるから」と言われたが、正直恥ずかしくて自分の写真なんて見たくない。まあ、応援してくれる人がいて、フィギュアスケートの認知度が上がるのはありがたいことだけど。
-「すっごい笑顔振りまいてペンサしてはったもんな」
「同い年のチャ・ジュンファンとかいう人がペンサマシーンだからね。仕方なく」
-「まあジュンファンくんは元子役だしなぁ。うちの望結みたいなもんか」
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作者名：こはる | 作成日時：2024年2月11日 22時
