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「随分遅かったわね、、ってAちゃんじゃない！」
「こんにちは、お久しぶりです」
「元気？ちゃんとご飯食べてる？」
「大丈夫です」
「まさかAちゃんを連れ回してたんじゃないでしょうね？」と言うオンマからの圧に思わず屈しそうになるが、「散歩をしていたらミノオッパに会ったんです」と言うAの言葉でその場の空気が軽くなった。
「記者がいたんだよ。だからあの人が帰るまでうちで保護しようと思って」
「あー、ミノが出て行った後からうろついててねぇ。外に出たタイミングで話しかけられたから、未成年への過度な取材は控えるべきでは？って言っちゃったわ」
我が母ながら随分強気な発言だな。
「でも、注意したのに居座られると良い気はしないわね」
「すみません。沢山ご迷惑をお掛けして」
「もう！Aちゃんが謝る必要なんてひとつもないのよ！
良い？悪いのはプライバシーも考えずに取材に来る馬鹿な記者なんだから！」
玄関で騒いでいたのが気になったのか、リビングからスニとドゥンイが顔を出してこちらの様子を伺っている。
「あの子たちもお出迎えしているし、Aちゃんも上がってお茶にしましょう」
「え、でも」
「いいからいいから！せっかくの機会だもの。ゆっくりしていって？」
スニとドゥンイが早くしろとでも言うように鳴くと、「ご迷惑じゃ…」と渋っていたAも折れた。
うん。やっぱり人間は猫様には勝てないのだ。
「お邪魔します」と言うAを連れてリビングに行くと、待ってましたという顔でスニとドゥンイがやってくる。
あの子たちは撫でようとした俺を無視してAの足元に擦り寄った。
「わー、お前たちAの方が好きなのか」
俺の言葉は聞こえないというように顔を背け、Aに撫でられて気持ちよさそうにしている。
「スニとドゥンイともなかなか会えなくなるからね」
「Aちゃん、本当に日本に行っちゃうの？」
「はい。もう決定事項なので」
「…そう。じゃあ私も観光がてらAちゃんに会いに行こうかな！」
「嬉しいです！私のオンマも日本で一緒に生活するので、来てくださったら喜ぶと思います」
「いや迷惑だろ」と言おうとしたが、Aの嬉しそうな表情に開きかけた口を閉じた。
韓国と日本。2時間程度のフライトで行き来できる距離ではあるが、なんだかんだ見知らぬ土地での生活への不安は大きいのだろう。
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作者名：こはる | 作成日時：2024年2月11日 22時
