▽ ページ25
・
オンニたちと話していると、前から男の人が2人歩いてくる。彼らはこちらを見ると「ヌナ!探したよ」と駆け寄った。ちらりと私を見て「その方は?」と言う彼の言葉からは警戒心が透けて見えた。
「チャニも知ってるやろ?フィギュアのAちゃん」
チャニ、と呼ばれた人の隣にいる男の子が「リノヒョンの…」と言うと「ああ!」と納得した顔をする。知り合いにリノなんて名前の人なんていたっけ?と考えていると、「僕がなんですか」と聞き覚えのある声が聞こえた。
「──っ!」
オッパ、と言いそうになって慌てて口を塞ぐ。目が泳いだのがオンニにバレたらしく、「あれ?知り合い?」なんて言われたものだから、「違いますよー」と誤魔化した。
いや、別にオンニたちに知られようと問題はないんだろうけど。オッパはそんな私を見て「幼馴染です」とさらりと言い放った。
「私の幼馴染にリノなんて名前の人はいなかったようなー」
「ミノとリノは同一人物ですよー。悪あがきはやめなよ、A」
目の前でにこにこと笑顔を浮かべるオッパは、1ミリも隠す気がなさそうだ。
「俺たちと先輩方しかいないんだから大丈夫だよ」
「…ここにはね。でも、どこで誰が聞いているか分からないんですよ。
敢えてリノさんと呼ぶと不機嫌そうに顔を顰めるオッパ。顔も知らない誰かが関係者Aになり、事実を捻じ曲げた作り話を記者に話すことだってあるんだよ。オッパはまだ知らない、いや、知らなくて良い話だけど。
「ふふっ、あはは!」
「ちょっとチャニ!」
「あー、ごめん!こんなリノ見たことなくて」
チャニ、さんは私たちのやり取りを見てひーひー言いながら笑っていた。サナオンニはそんな彼をバシッと叩くと、「Aの言うことも一理あるよね」と言う。
というか、オッパのせいで忘れてたけど、この人たちオッパと同じグループの人たちでは?挨拶も碌にしていないことに気づき、咄嗟に謝る。
「すみません。挨拶が遅れましたが────」
「俺の
「ちょっと、」
「ヒョン、先輩方、PDニムが探してましたよ」
オッパの言葉に「チャニ!戻るよ!」と2人を連れて行くオンニ。去り際にオンニたちがニヤニヤしながらこちらを見ていたけど、気づかないふりをした。
・
▽→←▼ My heart beat quickly when I saw you.
381人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こはる | 作成日時:2024年2月11日 22時