▼ My heart beat quickly when I saw you. ページ24
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初めてのオリンピックは銅メダルに終わり、世間の辛辣な意見もおさまった。1ヶ月も経たずにミラノで開催された世界選手権ではオリンピックでの不調が嘘のように金メダルをとれた。
主要大会で結果を残したことで、世の中の意見が賞賛に変わった。結局、世間は結果と成功ばかりを見ているのだ。死角に隠れていることも沢山あって、見えているものが全てじゃないのに。
怒涛のシーズンが終わり、桜も散る頃、スケート連盟の表彰祝賀会がソウル市内のホテルで行われた。お昼に表彰式が行われて、今はドレスアップして立食形式のパーティーが行われている。雰囲気的には、国際試合後に行われるバンケット──晩餐会の国内版といった感じだ。
────賑やかな場は苦手、なんだよなぁ。
連盟のお偉いさんに挨拶をして回らないといけないという人見知りにはかなりの苦行。こういう時に自国の縦社会が嫌になる。
パーティードレスにヒールという慣れない格好をしているのもあって余計に疲れてしまい、お手洗いに行ってくると言い会場を離れた。
人と会うのが嫌で、できるだけ離れた別のフロアにきた訳だけど……どうやらこちらのフロアでも何か催しをしているらしく、フォーマルな格好をした人たちとたくさんすれ違った。
「あれ？Aやん」
「っ！モモオンニ！」
韓国にしては珍しい日本語、しかも関西の言葉が聞こえたと思い、振り向くとドレスアップしたTWICEのモモオンニがいた。
「オンニ、こんなところでどうしたんですか？」
「うちの会社で最近デビューしたグループがあって、デビュー活動が終わったからその打ち上げみたいな。要は会食やな」
「ああ、」
JYPで最近デビューしたグループと聞いて思い浮かぶのはひとつ。オッパの所属するStray Kidsだろう。
一人で納得していると「Aも意外とアイドルに興味あるんやな」と不思議そうな顔をしている。「詳しくはないけど、デビューしたのは知ってる」と答えると突然目の前が真っ暗になった。
「わぁ！」
「だーれだ！」
「えっ、サナオンニ？」
「えー、なんで分かったん？」
「分からないと思ったのに」とほっぺを膨らませてこちらを見つめるサナオンニ。その姿が可愛くて、さすがトップアイドルだなぁと思う。
モモオンニに何でここにいるのかと聞かれ「連盟の祝賀会があって」と答えると、「アスリートの世界も大変なんやな」と同情の目を向けられた。
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作者名：こはる | 作成日時：2024年2月11日 22時
