▼ This is tougher than I thought. ページ16
◆Leeknow
Aと話せた満足感と当分は会えない寂しさを胸いっぱいに抱えて、ヌナの分、と渡されたマカロンを手にAの家を出る。
宿舎に帰る前にヌナの店に寄っていくか、とソウル郊外にひっそりと佇む店を目指して電車に乗り、最寄りの駅で降りた。
少し歩くと見えてきたおしゃれな外観の建物。OPENと掲げられたドアを開けると、ベルの音に反応してレジカウンターにいたヌナが顔をあげた。
「いらっしゃいま、、なんだミノか」
「──人を見てそんなこと言うなんてヌナは酷いですね」
何かの作業をしていたヌナは手を止めて俺の顔をじっと見つめると、何も言わずにドアプレートをCLOSEにした。
「まだ営業中じゃ、」
「いいの。あと30分で営業終了だから」
気を遣わせてしまったかと思っていると、そんな胸中を察したのか「別にミノが芸能人だからとかじゃないから」と伝えてくる。
気を遣った訳ではないと敢えて言うヌナなりの優しさに感謝していると、Aと会えたのかと聞かれた。
「ちゃんと会えましたよ。数年ぶりに」
Aの家に行ったこと、ブレスレットを喜んでいたこと、お互いの近況について話せたことを伝え、ヌナの分と預かったマカロンを渡す。
「ミノも貰ったの？」という問いに「はい」と返せば、ふーんと意味ありげな視線を送ってくる。
「好きが増した？」
「っ、！？」
何の躊躇もなくストレートに聞かれて一瞬息が止まる。鼓動が速くなるのを感じて、妹のような存在だから好きなのであって別に恋愛的な意味じゃない！と勢いのままに吐き出した。
一気に話したせいで息が乱れる。ダンスを踊った後みたいに汗が流れて、心臓の音が外にまで聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きく響く。
そんな俺を見たヌナは一呼吸置いて「別に恋愛的な意味で好きなの？とは聞いてないけど」と言い放った。
墓穴を掘った、と思った。これじゃあ認めてしまったようなものじゃないか。ニヤニヤと笑っている目の前のヌナが憎らしい。
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作者名：こはる | 作成日時：2024年2月11日 22時
