▼The news made me uneasy. ページ1
2015年3月
−韓国選手権を最年少の11歳で制してから3連覇し、世界ジュニアフィギュアスケート選手権で最年少優勝を果たしたイ・A選手(13)が、練習拠点を日本に移すことを発表しました。
日本では、高橋大輔選手を育てた長光歌子コーチの指導を受けることが決定しています。なお、現在指導にあたるシン・ヘスクコーチは──
高校2年の春、制服から着替えて何気なくつけたテレビには、3歳歳下の幼馴染の姿があった。
国民の妹、氷上のプリンセスという異名を持ち、韓国の至宝と言われている彼女の決断を肯定的に受け取る人間がどれだけいるだろうか。
しかも、両国にとって歴史的背景が複雑な日本への移籍。
個人的に日本の文化は好きだし、若い人はあまり気にしないだろうけど。
−よりによってライバルの日本に移るなんて。好きな選手だから残念
−まだ中学生なのに母国を離れるのは可哀想。キム・ヨナだって韓国を離れたのは高校生だったし流石に早すぎる
−この決断は正解だよ。平昌五輪に向けて国内の期待が高すぎる。マスコミが騒ぎすぎているせいで負担が大きかったのでは?
−同い年のチャ・ジュンファンもカナダへ移った。才能を伸ばすためには仕方がないことだよ
不安になって開いたSNSには、案の定賛否両論の声が溢れていた。
フィギュアスケート韓国選手権最年少優勝
世界ジュニアフィギュアスケートグランプリファイナル準優勝
世界ジュニアフィギュアスケート選手権最年少優勝
リレハンメルユースオリンピック優勝
輝かしい成績の数々に錯覚しそうになるが、彼女はまだ13歳の少女なのだ。
バンクーバーオリンピック金メダル、ソチオリンピック銀メダルに輝いたキム・ヨナの後継者と呼ばれ、大きなプレッシャーに潰されそうになる姿を沢山見てきた。
ネットに好き勝手意見を書く人。街頭インタビューに応じる人。
お前たちはAのことを何一つ理解していないくせに。軽々しく口にしないでほしい。
思っていたことが口に出ていたのか、キッチンにいたオンマがニヤニヤしながらこちらを見てきた。
「何?」
「ミノはAちゃんのことになると必死ね〜」
「っ、妹みたいなもんだし」
「そう?」
なにやら言いたそうな顔のオンマに背を向け、ソファーに置いてあったアウターを手に取る。
心のモヤモヤをどうにかしたくて「走ってくる」と告げてから玄関を出た。
・
▼I wish you were here with me.→
381人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こはる | 作成日時:2024年2月11日 22時