自 販 機 の 横

黙って聞いてくれる ページ6

話し終えるまで、話の腰を折らずに黙って聞いてくれてたウジさん。


何も言われないから途中寝ちゃったのかと心配になったけど、たまに合う目にどんどん固かった心が柔らかくなって、気付けば話さなくていいことまで話していた。





「まあ、長々と話しましたけど………まとめたらメンバーに彼氏と浮気されててそこを撮られちゃったって話です」





どんどん気分が落ちて行くのを勘付かれないために、少し明るめの声を出す。


事が起きてから今まで1度も口から出さなかった「浮気」という言葉。
頭では分かっていたけど、言葉にしたらなにもかも失ってしまいそうで。

でも、口に出してみてなんだかしっくり来た。


浮気なんて今まで生きてきて初めてされたな〜って。少し心も軽くなったかな。







「でも、ワイドショーで出てた写真ガッツリ2人共顔出てましたよね。変装してなかった」


WZ「…ああ、」


「何でかな？ソギュンオッパいつも私といる時は変装には厳しいのに…」








そこまで言って止まってしまった。
思考も呼吸も全てがシャットダウンしたかのように動かない。一気に目の前が真っ暗になっていく。




あんなにキツく変装について言ってたソギュンオッパ。

"マスクと、あとサングラスもしろよ！"

"え〜、それじゃあ不審者って思われて逆に目立っちゃうじゃん"

"写真撮られたらマズイだろ？"







あれは、もしかしてスキャンダル対策じゃなくて……









「…もしかして浮気相手が私だったのか、…な」








気付けばウジさんの腕の中にいた。いつの間にか抱き寄せられてて、香水じゃない、自然な香りが鼻を心地よく刺激する。









WZ「Aさんはグループのリーダーである前に1人の女性だろ？辛かったら泣けば良い。無理して笑顔作っててもどうせすぐ壊れる。まだ本番まで時間あるから」









ダムの壁が崩壊したかのように一気に溢れ出した涙。


さっきまで、案外平気かもなんて思ってたのは誰なんだ。


結構胸に刺さってんじゃん。
「痛いよ」って心が言ってるじゃん。









私が気付かなかった事に気付いてくれた彼の腕の中で子供のように声を上げて泣いた。

ワイドショーーWZー→←やっぱり駄目だ

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