自 販 機 の 横

小さな望み ページ20

"お互い、さん付けで呼ぶのやめない？"




ショートしてしまった頭を奮い起こしフル回転させる。

だけどやっぱり何処かの回線が狂ってしまったのかまだ混乱したままの私の脳内。




「…え、それは、私にしてほしいことではないでしょ？」



まさか、またそんな小さな物では無いだろう。そう思って聞いたけどウジさんの表情は至って普通で。



WZ「いや？これがして欲しいことだけど」

「……ええ…」

WZ「さん付けを止めてほしい。こう言えば良かったかな？」




この人、相当頑固らしい。譲らないとでも言うかのように目をじっと見てくる。
……これは私が引き下がったほうが良いのかな？…ていうか引き下がったほうが良いよね。




「分かった。なんて呼べば良い？」

WZ「何でも、本名ジフンだから好きに呼んで」




舞台衣装のジャージ(？)を着て私の答えを待つ彼。
……背は同じぐらいなんだけど…

こうやって近くで見るとますます可愛いな。ということで




「じゃあ、ジフンちゃん」

WZ「……俺の聞き間違いじゃなければ今、ジフンちゃんって聞こえたんだけど…」

「聞き間違いじゃないよ？」

WZ「……」




目を見開いてこちらを見る"ジフンちゃん"。
いや、結構しっくりこない？



「ジフンちゃんは？私のことなんて呼んでくれるの？」

WZ「早速使ってんな」

「せっかく呼び方決めたんだもん。使いたい」



私本名そのままAだから！早く決めて！、と少し急かしてみると

うーんと、うーんと、って焦って悩み始めたジフンちゃん。
いや、本当可愛い。やっぱジフンちゃんにして正解だったかも。




WZ「あんまごちゃごちゃつけるのもあれだよな」

「ん？」

WZ「普通にAって呼ぶわ」





ははって、笑ったジフンちゃんがちょっとかっこよく見えて反応に戸惑ってしまった。

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