雨の日。 ページ1
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『...うわ、』
『......雨だぁ、』
スタッフさん達との打ち上げの後、お店を出ると降りしきる雨に気づく。
スタッフ「遅くまでほんとにごめんね。」
スタッフ「雨すごいし、送ってくよ。」
『...すみません、お願いします......。』
申し訳ない気持ちはあるものの、傘を持ってきてなかった私はスタッフさんの言葉に甘えるしか選択肢はなくって。
スタッフさんに促されながら、家の最寄り駅まで車で送ってもらった。
スタッフ「ここでいいの? 大丈夫?」
『大丈夫です。ありがとうございました。』
スタッフさんの車が見えなくなるまで見送って、帰路に視線を移す。
さっきより明らかに強くなった雨は、黒い雨雲からザアザアと滝のように降り続けていた。
タクシーでも呼ぼうかとスマホを手に取る。
...いやでも、家まで10分もあればつくじゃない。
雨雲と少しの間にらめっこをして、スマホをバッグに戻した。
......もういいや。
濡れて帰っちゃえ。
意を決した私は、グレーのスウェットにシミができていくのも気にせず、黒のスニーカーでパシャパシャと雨の中を走った。
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『ただいまー...。』
『りょーすけ、タオル持ってきてー。』
くしゅん、ってくしゃみをひとつして、涼介が来てくれるのを待つ。
涼介「おかえり、これタオル...ってお前。」
涼介「びしょびしょじゃん。雨の中傘もささずに歩いて帰ってきたわけ?」
呆れたようにそう言って、驚きながらタオルで私の頭をわしゃわしゃしてくれた。
涼介「連絡くれれば迎え行ったのに。」
『大丈夫だよー。全然平気、これくらい。』
もうひとつ出たくしゃみに、涼介はすかさず反応。
涼介「ほら、くしゃみしてんじゃん。風邪ひいたらどーすんの。」
『...ごめんなさい、』
何も言い返せずに謝った私を見て、愛おしそうに微笑む。
涼介「あとこれ自分で拭ける? 俺風呂沸かしてくる。」
『うん、ありがと。』
いーえ、って言って微笑んだ涼介は、駆け足でバスルームへ。
びしょびしょのスウェットを脱いでその下に着ていたTシャツも脱いでいたら、涼介が戻ってきてくれて、私の姿を見て軽く目を見開く。
涼介「ここで脱ぐとか、理性もたねーわ、あほ。」
照れたように、そっぽを向いた。
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凛(プロフ) - やまけと大好きさん» そんなふうに言って頂けて嬉しいですありがとうございます! (2019年4月10日 20時) (レス) id: 4e491d5f53 (このIDを非表示/違反報告)
やまけと大好き - この作品大好きです応援してます! (2019年4月10日 19時) (レス) id: 563af4a453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年4月8日 19時