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プロローグ ページ1
side 主人公
仕事の後輩くんと夜道を歩いていた
いつもと同じ道を歩いているはずなのに
その日は人の気配、いや、生物の気配を
微塵も感じられなかった
不気味なほどに静かで
この違和感はおそらく後輩くんも気づいていただろう
冷や汗がでて、どこか息苦しく感じた
そして、嫌な予感がした
「俺は今日、この世界から消える」
そんな根拠のない妙な確信に至った
後輩くんは混乱した様子で、俺を引っ張りながら
ここから離れるよう促した
しかし、俺はそれを拒否した
そして、後輩に伝えた
「必ず戻ってくる」と
瞬間、意識が遠くなる
視界の端に
黒い馬車が見えたような＿＿＿
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side 後輩
先輩は突然
自分は今日この世界から消えるだなんて言い出した
そんな現実味のない冗談はよせと言ってやりたかった
でも、その日はどうしてか
先輩は本当に消えると確信してしまって
早く逃げないといけない気がして
先輩ともう
会えなくなってしまう気がして
先輩に必死に説得した
先輩はこの国にとって大切な人なんだ
強くて
かっこよくて
ちょっと怖いところもあるけれど
優しくて
みんなの憧れで
僕が尊敬する人
お願いだから
「いなくならないで」
頭を撫でられた
そして
「必ず戻ってくる」
そう言われた
顔をあげれば
先輩はもう
どこにもいなかった
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作者名：δ | 作成日時：2024年3月26日 20時
