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Aは表情を崩すことなく淡々とそう言うと、虎杖の目の前で鞘に収めた剣を少しばかり抜き、夕日に照らされた剣がキラリと光った。
「っ……俺はじいちゃんから「強いから人を助けろ」って言われた。もし今井のその言葉が本当になったとしても、俺はその場の流れに身を載せるだけだ」
『そう……私は別になんでもいいわ。
何の因果か同じ学年になったのだから、名前で呼んでくれた方が呼び慣れてる……悠仁』
Aはそう言い剣を再度鞘に収めると腰に差し、ただ1人立ち去ろうと歩み出したが、五条がそのAの肩に手を置き言った。
「ま、Aも揃ったことだし今度こそ飯行こっか」
『それは私も入っているの?』
「そうだよ!」
そんな会話をしながら食事店に向けて歩いていった生徒4人の元に任務が来ることになるのは、この時はまだ誰も知らなかった。
記録———2018年7月
西東京市英集少年院
同・運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認。
緊急事態のため、高専1年生3名が派遣され
———内1名、死亡
この日雨の中任務に派遣されたA以外の1年3名が少年院に派遣された。
Aはこの日、上層部から関西方面に準2級呪霊から1級呪霊の討伐をすることを命じられ、虎杖たちと同じ任務地へ赴いていなかった。
Aが行った呪霊の討伐任務地である関西のとある廃校となった学校の前にAが補助監督の運転する車から降りると、同行していた補助監督が言った。
「五条特級呪術師から、伊地知さんが同行する1年に何かあれば伊地知さんから連絡が来るようになっているそうです」
『分かった……早く帳を下ろして』
「……闇よりいでて闇より深く、その穢れを禊払え」
帳が下りた廃校舎内へ入ったAは、呪霊の気配が強い体育館の中へ入った。
「イッショニアソボー」
『貴方達のような存在に構っている必要性は無い……早く消えて』
Aが感情の籠っていない目で呪霊を睨みつけてから剣を振り下ろすと、一瞬で全ての呪霊が祓われた。
補助監督から帳を上げてもらい、車に乗ったAの携帯電話に同級生の伏黒から連絡が入った。
『どうかしたの?』
「俺たちが今回向かった任務先に特級が出た!もし手の空いてるようなら来てくれ!!
虎杖が中に残って特級の相手をしているんだ!!」
『すぐ向かう』
高速を乗り継ぎ3人の任務地へ着いたAが目にしたのは、心臓がない虎杖の姿をした呪の王、両面宿儺だった。
『貴方が呪の王の両面宿儺……』
「そうだが?」
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作者名:レナ | 作成日時:2023年11月24日 15時