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アイはAとルビーを自身の膝に乗せると、ミヤコに対して話し掛けた。
「アイドルはやってて楽しいし、私1人なら今のままでも別に良かったんだけどさ……だけど、この子たちにいい学校入れたり、習い事させたり……いろんな選択肢をあげるには私がもっと売れて、もっとバシバシ稼がなきゃダメなんだよね。
———今のままじゃ、この子たちを幸せに出来ない」
アイのその言葉にAはアイに抱き着くと、アイはAの頭を撫でながら独り言を呟いた。
「はぁ……CMとか映画の仕事、来ないかな?それも大手が……」
「いやまず、その高いアイスをやめなさい」
アイはAとルビーを自身の膝から下ろすと、ソファに置いてあった自身のカバンを手に取りレッスンに行った。
「ねぇアイドルって月給100万くらい稼ぐものじゃないの?」
「んなわけないだろ」
『んなわけないの?』
「歌唱印税も、テレビ出演料もメンバーと山分け。ライブは物販が売れなきゃ余裕で赤字、そして衣装代は天引き……月100万はマジで一握り」
「何それ、頑張ってる人にお金が行き届かないなんて世も末ね」
ミヤコは3つ子を抱いたままリビングに戻ると、3つ子を自身の腕から下ろした。
「あっそうだ!オタク全員が持ち回りで肝臓をアイに捧げてそれを売って……」
「お前の考えが世も末じゃねぇか!核戦争で文明が滅びたあとの宗教観やめろ……それとAもルビーに乗っかって頷くな」
Aを含む3つ子は、ミヤコに向かって言い出した。
「おいマネージャー!どうしてうちのアイに仕事が来ない!?」
『このクソ運営、もっと営業かけろ!』
「そんなこと言われても……アイドルグループって結局、数十人が束になってたった1人の芸能人と仕事を奪い合う業態なわけですよ。
セット売りでやっと仕事が取れる現状で、単体で勝負ってなるとやっぱ壁は厚いですよ?
個人の仕事がしたくてアイドル卒業したものの、1人じゃ仕事が取れず六本木の高級飲食店でバイトしてたり、港区女子になってギャラ飲みで食いつなぐ元アイドルもめちゃくちゃいるじゃないですか」
ミヤコのその言葉にアクアとルビーは「知らないけど、東京は怖い街」だと再認識した。
「アイがすごいのは私も認めてる。でもそれは、アイドルという分野に限った話……芸能界ってのは、1人でも戦える何かがないとやっていけないところなの。
儲かる仕事って、“B小町の誰か”じゃなくてアイにお願いしたい仕事のことだから……アイドルとして優等生なだけじゃダメなのよ」
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作者名:レナ | 作成日時:2024年2月3日 13時