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東京都内の某所を長い髪を揺らしながら走っている少女がいた。
その少女は横断歩道が点滅して垢に変わったことに気が付かずに走っていると、突如大きなクラクションが鳴らされその方向に目を向けた。
『え……?』
その瞬間、その少女は大型トラックに撥ねられてその道路は一部少女の血に染まってしまった。
「誰か救急車を呼んで!」
「しっかりして!!」
『(私、どうなったんだろう……せっかくアイの限定DVD買えたのにな……お母さん達、怒るだろうな……)』
少女はそう心の中で呟きながら周りの人が必死に呼びかけるのを目にして、ゆっくりその目を閉じていった。
そしてその少女が次に目を覚ました時、誰かに抱かれている感覚がした。
『(私、なんでちっちゃくなってるの?……え、目の前にいるのって———)』
「起きた?A」
少女、基星野Aは人気アイドルアイの子供として生まれ変わり、同じベビーベッドに寝ていた次女であるルビーと一緒にいた。
「どうしたの、アクア?」
「そっちはルビーだろ……それでも母親か」
「人の顔と名前覚えるの苦手なんだから仕方ないでしょ。
嫌でちゅね、日本の男は母親を幻想視し過ぎて」
Aはアイとアイの所属事務所の社長の会話を聞いて笑い始めた。
アイはソファに座り、Aとアクア、ルビーはアイの膝に座って社長の話に耳を傾けていた。
「復帰第1弾は今夜の歌番組。生放送だけどいけるよな?」
「もちろん」
「アイが仕事の間、子供の面倒は妻が見る」
社長夫人である斉藤ミヤコは、納得のいかない顔で了承したことをAは目にしていた。
その日の夜、ミヤコは溜まりに溜まったストレスを吐くかのようにしてソファに寝転びながら呟いた。
「ベビーシッターなんて経験ないのに、なんで私がこんな……」
そう言って眠りにつくとタイミングを見計らってアクアがテレビの前に移動してテレビをつけた。
「———待って」
「あ……」
「Nステもう始まってるじゃん!どうして起こしてくれなかったの?……A起きて!」
ルビーの一言で目が覚めたAも急いでテレビの前に移動すると、興奮状態でルビーと一緒に言った。
「ハハーッヤッバー!ママ可愛すぎ〜!」
『これは絶対視聴者全員億払うべきー!』
「ターンの時の表現力マジヤバない?鬼気迫りすぎてむしろ鬼?ヤッバい……オムツ替えたばっかなのに失禁しそう」
アイの出演する番組が終わると今度はAが番組を切りかえてバレー試合のテレビをつけた。
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作者名:レナ | 作成日時:2024年2月3日 13時