おかあさん4 ページ5
Aとジャックが手を繋ぎながら、悠仁と伏黒を探していると何処からか隙間風が漏れ出たのか壁に穴が空いているのが目に入った。
『ジャック、召喚して直ぐで悪いんだけどあそこの壁から外の様子を見てくれる?』
「勿論だよ、おかあさん!」
Aの問いかけにジャックが応えると、ジャックは礼装を変えて2つのナイフを手に持ったまま壁から飛び出して行った。
Aもそんなジャックの後を追うように壁から外の様子を見ると、自身の弟である悠仁が何かを飲み込もうとする瞬間だった。
「———やめろーー!!」
『ゆ、悠仁……?』
Aが悠仁の名前を呼びながらその場所へ向かおうと足を早めると、ジャックがAの傍にやってきてAに言った。
「あの人がおかあさんの言ってたゆーじ?」
『そうよ、ジャック……』
「あの人から凄いイヤな気配がしてるの……おかあさんの事はわたしたちが守ってあげる!
だから、あのつんつん頭の人のところに一緒に行こ?」
ジャックがそうAに言うと、Aは一言「そうね」と呟き、伏黒のいるすぐ横に移動した。
「アンタは……」
『ねぇ伏黒くん……弟が、悠仁が飲み込んだ“アレ”は一体何なの?』
「あれが特急呪物、両面宿儺の指だ……猛毒だし、虎杖は……アンタの弟は確実に死ぬ」
伏黒がAにそう言うと、Aの前にジャックがナイフを2丁持ち、Aを守るかのような体制を取った。
「クッフ……フッフッフッ……ウハハハ……あぁ矢張り!光は生で感じるに限るな!」
「……おかあさん、下がって」
悠仁の姿をした“何か”がそう言うと、悠仁が着ていたパーカーを破ると、また独り言のように話を続けた。
「呪霊の肉などつまらん……人は、女は何処だ?いい時代になったものだなぁ。女も子供もウジのように湧いている……素晴らしい!鏖殺だ!!」
そう言うと、その“何か”はふと後ろを振り返り一瞬の隙にAとジャックの元に来た。
「まさかこんな近くに女と子供がいるとはなぁ……」
「わたしたちのおかあさんに近づかないでよっ!」
『ジャック……!』
ジャックが目の前にいる悠仁の姿をしたその男にナイフを2丁投げると、それは後ろに下がるかのように飛び退いた。
「ほう……お前もこの俺と同じように古い生命を持つ者か……あっ、あぁ?」
『ゆ、悠仁……?』
「人の体で何してんだよ?返せ」
「お前、何で動ける?」
「いや、俺の体だし」
そう言った途端、悠仁の体に巻き付くかのようにあった刺青が消え、元の悠仁に戻ったのを見たAは悠仁に抱きついた。
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作者名:レナ | 作成日時:2023年7月18日 15時