怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ10)

今日:7 hit、昨日:36 hit、合計:68,900 hit

三百四十八話ページ10

一影side

ステージ袖にあったパイプ椅子は休憩用の椅子でもともともっと奥に置かれていたものだったという。

ちょうど外では運送業者のホトがライブ用の荷物を運んできていた。
どうやら明日使われるはずだった気合のようだった。輸送結びという特殊な結び方をされたその紐を解いたところでまた持ち帰ると言われたからか不満げな声を漏らしていた。

安「あのー…そのパイプ椅子も調べたんですよね？」
鑑「いや、指紋とかはまだ…でも妙な場所に置いてあったので持ち帰って調べようと…別の鑑識官がマイクスタンドと一緒に…」

ちょうど問題のパイプ椅子が現場から持ち出されるところだった。
それに沖矢昴が声をかける。

沖「すみません…ちょっと座面の裏を…」
鑑「え？」

座面の裏を確認してみるとそこにはサークルレンズが張り付いていた。

沖(やはり…)
安(そういうことか…)

鑑識さんにパイプ椅子を返すと通り道を開けるように言っていた。

鑑「すみませーん通ります…どいてくださーい…」

その先で道を開けた蘭さんが、何か思案しているような表情をしたことをベルモットや降谷と話をし始めた俺は知る由もなかった。

蘭(どいて…どいて…)

？【さあどきなさいその茶髪の子から…死にたくなければ早く…】

【 Move it,Angel!! 】(どいてエンジェル‼)

蘭(そうだ…あの時、コナン君と哀ちゃんを誘拐しようとした…怪しい女の人が私のことをそう呼んでた…顔は見てないけど…でも何であの女の人と同じ呼び方を…梓さんが…どうして？)

被害者を釣り上げたトリックが分かったからと伝えにいくと案の定驚かれる。
なんせ彼は３メートル近く吊り上げられていて、そのロープの先は客席に結び付けられていた。

犯行時刻にアリバイがないのは炎上さん、布施さん、梶谷さんの三人だけで、しかもアリバイがない時間が、重なっていない。よって共犯は不可能。

降「被害者も椅子に座らせていたのなら吊るのは約２メートル…実際にやってみましょう…もう鑑識さんに新しいロープを用意してもらい…準備してもらっていますから…」

さあトリックの種明かしだ。