怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ8)

今日:12 hit、昨日:36 hit、合計:68,905 hit

三百四十六話ページ8

黒沼side

梶「おい！帰らせろよ！編集部に早く戻ってこの事件の記事を書かなきゃなんねぇんだからよ！！」
高「その前にその鞄の中身を…」
梶「離せ！商売道具に触るんじゃねぇ！」

まだ調べている途中な上に、容疑者から外れたわけでもないのに、この人いよいよアホなのか。
アリバイクズしだって、まだされたわけでもない。穴があればトリックが全部崩れるなんてことも起きないわけじゃない。

彼が犯人でないにしろ、もしかしたら証拠が残っているかもしれないのだ。
そう、例えば彼の持っているバッグ。
別に犯人がいたとして、誰かに罪をなすりつける為に、証拠品を誰かの所有物の中に潜り込ませることもできない話じゃない。

梶「離せって言ってんだろ！？」

高木刑事が掴んでいた梶谷さんのカバンを離してしまい近くを通った鑑識に当たってしまった。
おかげで鑑識さんも吹っ飛ばされるし、証拠品はばらまかれるし、フロアが大惨事だ。
高木刑事はちゃっかり鞄を抱えていたが。

梶「お、俺のせいじゃねぇぞ…この刑事がよォ…」

いやアンタが見せないからこうなったんだろ。
どこまで自己中なんだこの人。
床に散乱した証拠品を蘭さんたちが拾い上げていく。
証拠品の一部にあった波土さんの免許証の写真は、瞳が小さい為なのか、随分近寄りがたいオーラが出ていた。

蘭さんの足元には、彼女との足の大きさほどにまとめられた犯行に使用されたロープが落ちていた。

黒「いいんですか？梶谷さん…このまま帰るとますます犯人と疑われてしまいますよ？もっとも、それで構わないなら、止めはしませんけど…」
梶「ッ」
目「おや？鞄の中にデジカメが入っているようだが…」
梶「さ、触るなよ！！」
目「撮った写真を確認しても構いませんな？」
梶「……か…勝手にしやがれ…」

勝手に帰ろうとしなきゃ警部さんに睨まれずに済んだのに。

コ(黒沼さん、それもはや脅しだぜ…怖)