怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ4)

今日:11 hit、昨日:36 hit、合計:68,904 hit

三百四十二話ページ4

安室side

胸のポケットに携帯。
あまりにも聞き覚えのある状況すぎた。
いや、いるメンバーがメンバーじゃなかったら、思い出さなかったかもしれない。

数年前のあの日、景は胸のポケットに携帯を入れていた。
屋上に上がった時、当時組織に潜入しているとは知らなかったが、黒羽がいたおかげで、景はその携帯ごと拳銃で心臓を撃ち抜くことはしなかった。
いや正しくはできなかった。
黒羽が景の持っていたリボルバーを撃ち抜きその手から落とさせたためだ。

黒羽は僕より早く景からのメールに気づき、且つ赤井より先に景と合流して、景を数年間組織の目の当たらないところに隠す計画を練っていた。

だから屋上に駆けつけても景はその引き金を引くことなく組織の人間に殺されることもなく済んだわけだ。

つまり何が言いたいかというと、何でさっさと説得して逃げなかったんだ赤井。
あれが僕じゃなく、例えばジンであったり、黒羽が景と計画を練る前だったりしてたら、どうする気だったんだ。
そうなっていた場合間違いなく景は胸のポケットに入れた携帯ごと心臓を撃ち抜き、拳銃自殺していた。

黒羽に言ったら、もう済んだことをとやかくいうなと言われそうだし、そもそも隠していたのは自分だとか言われそうだが、根本的に馬が合わないのも相まってどす黒い感情がドロドロと溢れそうだ。

高「安室さん…安室さん？安室透さん？」
安「あ、はい？」

完全に外の声をシャットアウトしてしまっていた。横にいた黒沼もけげんそうな顔をしている。

高「これにあなたの名前と…《ゴメンな》の文字を…」
安「えーっと…どうして？」
高「聞いてなかったんですか？波土さんの胸のポケットにこの紙が入っていたんです…」

高木圭司が取り出したのは《ゴメンな》と書かれたメモ帳のような紙だった。
犯人が携帯を抜いた代わりに入れた紙である可能性もあり、筆跡鑑定をやる為にホール内の人間に描いてもらうとの事だった。

安「そういう事なら…」
高「もちろんあなた方もお願いしますね！」

左横にいた円城さんたちにもそう言って頼んだ高木刑事。
前方でベルモットがコナン君に歩み寄るのが見えた。

？「ねぇコナン君？梓さんの名字って何だっけ？」
コ「榎本だけど…何で？」

こうなっては仕方ないとコナン君に梓さんの名字を聞いたベルモットは、蘭さんの声で聞き出すことによって完全にコナン君の警戒を解いていた。

黒「うわせこい」

黒沼、それ周りに聞こえてたらどうする気だ。