怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ3)

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三百四十一話ページ3

一影side

布「怪しいのなら彼だってそうじゃないか？」

布施さんが指差した先にいたのは、あのスタッフジャンパーをお金で買ってまで波土さんの取材をしようとここへ潜り込んだ梶谷さんだった。というかこの人まだここにいたのか。

梶「おい離せよ！！波土が殺されたんだろ！？写真ぐらい撮らせろよ！！」

スタッフに取り押さえられているが、現場保存の妨げにもなるし、そもそも一回摘み出された部外者なのだからダメに決まっているだろうが。

な～んて言えてしまったら楽なのだがまあ、現状警察じゃないんで。結局警部さんたちも話を聞くことにしたようだし黙っておくことにした。

梶「ああ…間違いねぇよ…午後５時半前…５時20分頃だよ！嘘だと思ったらジャンパーを打ったスタッフに聞いてみろよ！！」
高「…だとしたら妙ですね…円城さんの姿が確認されていないのは4時半から４時５０分で布施さんは５時から５時１５分頃ですから…」
目「３人のうち誰かと誰かが共謀して被害者の首をつらすのは無理か…」
コ「ねぇ！」

三人の中で野球をやっていた人はいるかと聞いたのはコナン君だった。
そう言えば現場で野球のボールが見つかっていたな。凧糸が括り付けられた状態の奇妙なものだったが。

布施さんは大学までラグビー、円城さんは中学の頃にテニス、梶谷さんは登山部の幽霊部員。
三人とも野球はしたことがないようだった。球技という点では、円城さんが近い気もしなくはないが…。

野球をしていたのは亡くなった波土さんの方だった。
高校まで野球をしていた波土さんは強肩の外野手で、もう少しで甲子園というところまで行ったとか。

現場に落ちていたボールは、高校を卒業するとき野球部のメンバーにもらったボール。
《ミュージシャン頑張れ》というメッセージが入っていて、彼はいつも持ち歩いていたそうなのだ。

梶「さすが元カノ…詳しいねぇ…その頃から波土がデビューして売れるまで付き合っていたんだよな？んで、この美人マネージャーに横恋慕して見事にフラれたのが…その社長さんってわけだ…」
布「何年も前の話を…」
梶「いいじゃねぇか…」
目「ところで…波土さんの携帯電話…どこにあるか知りませんか？」
高「彼の控え室にも荷物の中にも見当たらなくて…」
円「携帯なら波土はいつも胸のポケットに入れてましたけど…」

そう言えば景もよく携帯も胸元のポケットに入れていた。
なんてことを考えているのが俺だけじゃなかったのを俺は知る由もなかった。