怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ11)

今日:9 hit、昨日:36 hit、合計:68,902 hit

三百四十九話ページ11

安室side

目「＿＿っとまあ一応…スポットライトがついたバーにロープを渡し…そのロープの片方を椅子に座った高木君の体に結び付けたが…本当に人間一人の力で吊り上げられるのかね？」
安「もちろん！」

ステージの上で上から垂れているロープを、右のてて折り込んで輪を作りながら持ち左の手でもう人うわを作って右手の下にすると、右手の輪に左手の輪を手前から潜らせるように二回巻き付け、下側の輪をねじりながらその輪の中に輪より下に垂れたロープの途中部分をまた輪ができるように通す。

できた輪を２メートルほど下にあった客席の手すりに引っ掛け、今度は輪になっていない方のロープを手すりの内側に引っ掛けるようにして通し、再び最初につくった輪と同じものを作り、ロープの途中を通してできた大きな輪とロープを今度は４メートルほど離れた席の手すりにひっかけもう一度また同じ輪を作って今度はできた大きな輪だけを持って８メートルほど離れた四季の手すりに引っ掛ける。

安「後は三番目に作った小さな輪のところへ戻り…余ったロープを引くだけ…じゃあ一番非力そうな園子さん…引いてくれますか？」
園「わ、私！？い、いいけど…どーせ私じゃ持ち上がら…」

園子さんがロープを引くとステージ上の高木刑事の体が持ち上がって足をジタバタするような状態になってしまった。

黒「滑車の原理…ですよね？沖矢さん」
沖「ええ…途中に作った小さな我が滑車の役目を果たし…一つの輪ごとに二倍、四倍、八倍の力でロープを引くことができるんです…」

実際は滑車ではなくロープのため、摩擦の影響で八倍とはいかないが、原理はほぼ同じこと。
軽くて滑りのいいロープを使えば、園子さんでも高木刑事を吊り上げられる。

沖「なお、これは《輸送結び》と言い、運送業者が積荷を固定っするときに使うロープの結び方…つまり波土さんを吊り上げた犯人(・・・・・・・・・・・・)として一番疑わしいのは…若い頃運送業者でバイトをしていたという…波土さんのマネージャーの円城佳苗さん…あなただということになりますが…」

吊り上げた後ロープを客席に結ぶのはもっと簡単だ。
ロープの先を近くの客席に縛って一旦固定し、上から来ているロープの手すり付近に針金をねじ込み、その針金で上から来ているロープを固定してしまえば後は余分なロープをほどき、客席に結び直して針金を抜くだけなのだから。