怪盗の兄、公安、組織の一人…これ、トリプルフェイスか？IV

百二十話 高速の飛沫血痕 ページ10

黒沼side

紅茶をすり替えたのは、須藤さんたちが携帯を見ていた時。

毒付きの自分のカップに入った青いバタフライピーにレモンを浮かべて赤くして、須藤さんのカップを押し出すように置き、

自分のカップをとると見せかけて須藤さんのカップを取り、そのカップのレモンを取り除いて重曹を入れ、青色に戻した後、

最初に置いた毒付きのカップを同じように少し押し出すように置けば、毒付きのカップは須藤さんから見て左側に取っ手があり、

携帯の写真に気を取られている須藤さんに毒付きのカップを、左手で取らせることが出来る。

安「どこか間違ってましたか？」

どこにそんな証拠があるのかと聞く別府さんの言葉にかぶせるように、今度はコナンくんが高坂さんの手を取って左手の親指が赤いと指摘する。

それは須藤さんが最初に飲んでいたカップについた口紅。
犯人はそれも消さなければならなかった。
入院患者である高坂さんのカップに口紅がついているのは至って不自然である。

慌てて消したのだろうが、口紅は、石鹸などを使わなければ落ちない。
つまり高坂さんの手についている口紅と須藤さんの口紅が一致すれば証拠になる。
それに加え、すり替えられた須藤さんのカップも調べれば証拠になる。
大量の重曹が混入されているからだ。

恐らくは角砂糖に重曹をまぶして容器の底に隠していたのだろうという安室。
ハーブティーに砂糖を入れても怪しまれないからと。


殺害動機は息子さんの受験の失敗ともう一つ。

須藤さんの息子さんから高坂さんの息子さんに写ったインフルエンザが高坂さんに移ってしまったのだそう。
当時彼女は妊娠していて、医者からは胎児に悪影響を及ぼすかもしれないと言われ、ノイローゼになって結局流産。
その時は運がなかったと割り切っていたが、須藤さんの息子さんに話を聞いた後、その考えは一変した。

【母さんが“最後の追い込みなんだから勉強しに行ってきなさい！それでライバルが一人でも減るならラッキーじゃない”って…】

悪質にも程がある。

八方「ひどい…」
別府「でも伶菜ならありうるわね…」
高坂「ひどいのは私も同じですよ…あなた達を疑わせて…罪を逃れようとしてたんですから…でも残念です…バタフライピーには解毒作用もあるから選んだんですよ…もしかしたら私の中で燻るどす黒い殺意を…犯行前に浄化してくれるかもしれないと思って…」

百二十一話 高速の飛沫血痕→←百十九話 高速の飛沫血痕

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す