怪盗の兄、公安、組織の一人…これ、トリプルフェイスか？IV

百二十六話 緋色の序章〔最後のピース〕 ページ16

narration side

午後8時頃、杯戸小学校の職員室に、一人の女性の影があった。
澁谷夏子＿杯戸小学校の教師である。
着信音が鳴り響き、澁谷は携帯の電話をとる。

夏「…もしもし…あら、ジョディ…どうしたの？…って、今日だっけ？飲みの約束してたの…」
ｼﾞｮ〔どう？小学校の先生にはもう慣れた？〕

電話の相手に対し、外国帰りの美人教師で大人気と言いたいところだが、色々あって大変なのだと答えた。

夏「…今日もこの後、児童さんの親御さんと会う約束してるし…」
ｼﾞｮ〔そっか…じゃあ今夜飲むのは無理そうね…〕
夏「…っていうか、あなた何でまだ日本にいるの？潜入捜査は終わったんだよね？」

そう言った澁谷に対し、誘っといて随分だと言ったのはFBIに所属するジョディ・スターリング捜査官。

米花町にあるカフェで、澁谷に電話をかけていた。

ｼﾞｮ「こっちにも色々事情があるのよ…じゃあまたね！」

ジョディはピッと通話を切ると、携帯を隣の席に座っていた同じくFBI捜査官のアンドレ・キャメルに渡した。
どうやら携帯はキャメルのものだったようだ。

ｷｬ「友人ですか？」
ｼﾞｮ「ええ…彼女がアメリカ留学中に、ちょっとした事件に巻き込まれたのを助けたことがあって…それで知り合ったのよ…私に日本語を教えてくれたのも…私が英語教師として潜入する時に色々協力してくれたのも彼女…まぁ、教師仲間の親友ってところね…」
ｷｬ「なるほど…」

路肩に停る一台の白いRX-7。
中には黒ずくめの組織ベルモットと、安室透ことバーボンがいた。

安室「澁谷夏子28歳…小学校教師…」
ﾍﾞﾙ「…誰よ？それ…」
安室「僕の依頼人であり、なおかつ僕が探し求めている最後のピースを…埋める手助けをしてくれそうな人物ですよ…」
ﾍﾞﾙ「…だから何なのよ？そのピースって…」

安室が懐に携帯をしまった直後間近で聞こえたドサッという何かが落ちた音。

ﾍﾞﾙ「今、誰か階段から…」

ベルモットが助手席から外を見、安室は運転席から助手席に身を乗り出して外を見る。近くの階段の上に息切れをしている人影。
その人物は落ちた人物をちらりと確認するとすぐさま去っていく。

安室は車の外に出ると落ちた人物を確認しに向かう。
倒れていたのは澁谷夏子その人だった。

ﾍﾞﾙ「！？…この女…」
安室「ええ……どうやらパズルは完成しそうですよ」

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