愛され雪女。 (ページ9)

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渡辺side

渡辺｢そこのベンチ座ってて。飲み物買ってくる｣

仲良くなるのは今しかない。そう思った。

天羽｢え、でも…｣

渡辺｢いいから。ほら！｣

天羽｢…じゃあ、お言葉に甘えて(笑)｣

自販機で缶のココアを買って、冬和に渡した。

天羽｢ありがとう！｣

缶を開けようとして、苦戦してたのはめっちゃ覚えてる。

俺が開けてやると、冬和は嬉しそうに飲んだ。

天羽｢翔太くんは、私のこと嫌いなんやと思ってた｣

渡辺｢正直、どう接していいか分からなかったからさ｣

冬和も人見知りで、グイグイいけるタイプじゃないのも分かってたし。

渡辺｢でも、仲良くなりたい。これから付き合いも長くなるし、冬和といろんな景色見たいなって思ってるから｣

多分、そんなことを言った気がする。

天羽｢翔太くん…｣

渡辺｢えっ、泣いてる…？え？ちょ、ごめん！｣

冬和が泣いてるところなんか、初めて見たもんだから俺も何が何だか分からなくなって。

宮舘｢翔太ー？え、冬和どうしたの？翔太何か言った？｣

俺が帰ってくるのが遅かったからか、様子を見に来た涼太。

渡辺｢分かんない、え？ごめん…｣

天羽｢ううん、嬉しかってん。翔太くんありがとう｣

冬和の顔は涙でぐちゃぐちゃで、でも今まで見た笑顔の中で一番幸せそうだった気がする。

それからは、呼び方が翔太くんから翔太になって。

休憩中によく話すようになって。

これが、俺と冬和の距離が近くなったきっかけだった。