【魔入間】魔界に愛された少女５【愛され・逆ハー】

１６８ ページ7

･
･
貴女side


ポロッ カラン

ポタポタ キン

ポロン カンッ カンカンカンッ





『……さむい、よぉ』





キンッ カンッコンッ





私の宝石が白い皓い大理石の床に零れ落ちる




鉛のような脚を動かすと、地の底から鋭く冷たい刃物に足を穿たれる心地がする



『いたい、なぁ』



いつもはこんな言葉吐かないくせに、ポロポロと口から弱虫が這い出てくるのが居心地悪い




──────メビウス｢……ごめんねェ、ちょっと虫が入って来たみたい。殺してくるねェ。｣



──────『ん、……なんで？』



──────メビウス｢……Aも、蟲(･)は嫌い(･･)でしョ？｣




虫、たしかに、虫は汚い、菌を運んで、みんな(･･･)を苦しめる






──────『うん……苦手(･･)。』



その会話の後、メビウスはこの森を出ていってしまった




この森(夢幻の森)をだ。メビウスは泉の核の意思。いわばここに本体があるのに、それを放ってメビウスがここを出ていくなんていつもはしない。



これは、異常事態だ。




なにかあったんだ。私の魔界に。私のメビウスに。







カラン コロンッコロン



1階の玄関ホールまで、降りてこれた



魔術を使えれば楽なのに……悪周期で魔力制御が出来なくなるのも、錬金術が発動されるのも、本当に面倒だ。




手摺に両手で縋り付き、悪周期特有のどうしようもないほど湧き出す破壊衝動を抑える




その道すがら、私の握った手摺が砂塵に帰していくが安い犠牲だと諦めて欲しい





下手すればこの魔界ごと無理心中しかねないのが番人(私たち)の悪周期なのだ。




実際、先代は悪周期時に魔界の自然エネルギー配給を間違えて島1つの在り方を本来あるべき姿から切り離し、変えてしまった。


魔界南方のセイレン島に四六時中火球を巡らせ続け気温配分は真夏相当、それどころか夜(・)すら来なくしてしまったのだ




セイレン島に移り住んだ住民は観光地としてセイレン島を上手く利用し受け入れてくれているようだが、、同じ番人としては耳も頭も痛くなるような話だった




私もそのうちうっかり朝(・)が来ない島を作ってしまわないよう気をつけよう…




いや、彼は黎明、「夜明け」の番人として名を馳せ、セイレン島の人気も上がったのだから


私が番人になった暁には本当に「夜」の島を実現してもバチは当たらないかもな。




さぁ、“外”までもう少し

･
･

１６９→←１６７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す