【魔入間】魔界に愛された少女５【愛され・逆ハー】 (ページ5)

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暫く教室を歩き回り年相応にはしゃいでいた彼等だが、ある2つの椅子を見つける。

──────教卓から長いレッドカーペットが引かれて、その最果てには2つの椅子が横に並ぶ

アズ｢それ、は……魔王と番人の……｣

今の魔界を『王』と『』として築き上げた彼らの遺物

皆思うところがあるのだろう

戸惑うような、不審そうな形容し難い顔をする“13”人の横を素通りし、彼は玉座に着く。

入魔｢なかなかどうして、いいもんあるじゃねぇか。｣

《その瞬間、誰も動けなかった

その姿がまるでまるで…

そして誰もが空虚を感じた

足りない、と》

「あの子に、ソレは、必要ないよォ。」

偉大なる魔王の椅子に座る入魔の後ろから纏わりつくような生温い温度に言い知れぬ恐怖を感じた

悪魔にとって1番の屈辱である恐怖を、あっさりと皆が自覚した

根本的で、原始的な「」の恐怖

動物的な本能が悲鳴を上げ警告を鳴らし「脚を動かせ」と泣き叫ぶのに、「動いたら死ぬぞ」と第六感は突きつけてくる

呼吸をすることさえ憚られる空間に黒い黒い闇が広がる

この闇に飲み込まれたら終わりだ

そう識(ｼ)っているのに、闇は懐かしい匂いをしていた

“悪魔”達はこの闇に沈んではいけないと思うのに、このまま微睡みに身を任せてもいいのではないかと、ある種の危機感が身を唆す。

この機を逃したら、二度とこの闇に巡り会えないと判(ﾜｶ)ッてしまう

入魔｢ッおい！！！！起きろ！！！！！！！｣

この状況に1人抗うは人間の子

不思議なことに部屋に満ちる闇は彼にはミエなかった

先程まで語らい、笑いあった級友達が膝をつき夢心地のような目をするまでの過程をみていた。

“見えていた”。

悪魔達には目の前の闇しかミエないのに。

人間である彼ただひとりは、そこに立ち、級友全員の顔が見えていた。

ただ数々の修羅場を切り抜け、独自の危機感知を会得した彼だけは事の異常性に

彼らの【命の灯火が消えかけている】ことを正しく理解していた。

「お前かァ。？？？？」

そこでやっと、彼の耳にも闇の声だけが届く。

背筋を得体の知れないものに撫でられるような不快感

心臓を抉り取られたような孤独感

彼は輪郭こそ捉えきれなくとも、それら全てに違和感を覚えた

入魔｢(違う、コレは違う。コレは俺の“_____”じゃない！！)｣

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