【ヴィランズの手下】邪悪な蛸さん (ページ29)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:19,818 hit

29 ページ29

.

「ん……」

目が覚め体を起こす。

昨夜の怠さは無く、もうすっかり元気になった。

カーテンの隙間から見える空は、日の出の少し前なのかまだ薄暗い。

隣に目をやると、背を向け寝ているエイトフットがいる。

そんなエイトフットにそっと毛布を掛け私はベッドを出る。

着替えを用意しシャワーを浴びる。

「(気持ち良い…)」

汗をかいていたので温かいお湯がいつもより気持ち良く感じる。

風呂場から出て、Tシャツと短パンというラフな格好になり、髪を拭きながら部屋に戻る。

テーブルに置いてあった水を飲みバルコニーに出る。

日が昇り始めて、海に反射してキラキラと光っていた。

しばらくその景色を眺めていた。

「(あの家にいたらこんな綺麗な景色を知らないままだった…)」

そういえば、私達がいなくなってからはどうなっているんだろう。

慌てているのかな、警察に捜索願いでも出したのかな、それとも私達の存在は無かった事にされているのかな……

………いや、あいつらには苦しんでもらいたい。

今まで私達の時間を奪ったのだから。

それ相応の罰を受けてもらわねば。

おじ様に話してみよう。

どうしたら良いか。

まあ、聞いたところで、「好きにしたら良い」という答えが帰ってくるのは目に見えているけど。

。

日が完全に昇りきったのを見て私は部屋に戻った。

エイトフットはというと、ぐっすりと眠っている。

ベッドに腰を掛け、エイトフットの髪が散らばっているのを見て思わず頭を撫でてしまう。

グレーと紫の髪色。

とっても素敵で私の好きな色。

顔にかかっている髪を横に流す。

すると閉じられていた目が震え、まだ眠そうな瞳が私を見つめる。

「おはようございます、エイトフットさん」

私は微笑み再度エイトフットの頭を撫でた。