推し様の夢を見たい (ページ27)

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『一体どうし……』

どうしたのですか、と続けようとした私は彼に大事そうに両手で手を包まれた途端、言葉を飲み込んだ

HS「…驚かせちゃった？」

『は、い…まあ…』

HS「これで何度目、だなんて言わなくても…わかるかな」

…やっぱり、夢と現実は繋がっていたの？

と、というか、ほんもの、
本物のホソクさんだ！！？

推し様だということを意識してしまい顔を真っ赤にして固まっていると、夢の時のように慌てて手を離された

HS「っと、ごめんね！！…さっきの場所だと目立つからここに連れてきたんだ」

『そう、そうだったのです、ね！』

HS「あ、夢では敬語やめてくれてたのにな。それにさっきだって！ホソクくん、でしょ？」

『うん…ごめんねホソクくん』

わざとらしく拗ねたように言う彼に
思わず笑みが零れた

HS「…やっと笑ってくれた」

『き、緊張、してて』

HS「ふふ、そっか。ねえ、Aちゃん
俺に会いにきてくれたの？」

『あ…え、ええっと、それは……』

HS「あ～分かってるよ！俺に会いに、というよりは確認がしたくて来たような感じだよね」

まさにその通りだ

おかげでわざわざ聞かなくても全て理解出来た

私、夢の中で今まで
ご本人様と話をしていたんだ

『って、いやいやいや！』

HS「いや～…不思議だよね。でも夢で会えなくてもこのお店で会えたから、きっと運命だったんじゃないかなと俺は思っているよ」

途中まで格好をつけていたのに言い切った途端に恥ずかしそうになんて、と言葉を濁し始めている

やっぱり推し様は可愛いな

『運命だなんてそんな、私はファンの1人なので…』

HS「あのね、Aちゃんと出会ってからもっと自分に自信を持てるようになったんだ」

『え、…出会ってから？』

HS「…でも夢で会えなかったら、またこうして会うことはできなかったと思う』

当たり前だ。夢で会うことが出来なければあの一瞬で顔を覚えられるわけが無い

私にとってはラッキーな出来事になるのだけど

HS「夢で会えなかったら、Aちゃんはこうして店に来ようとはしなかったでしょ。違う？」

えっ、違わないけど思っていた返答が違う

もし夢で会うことがなければ彼らの休める場所を減らしてしまわないようにと、また来ようとは思わなかっただろうけど…

HS「だから夢でもなんでも、会えてよかった」