お前のこと…全部知りたい【仁王雅治】 (ページ23)

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第21話ページ23

Aside

さっさと準備しないとあいつ待ちくたびれちゃうだろうなぁ～。あいつの発言…たまにどころがずっと心に刺さる…グッサグサ刺さる…そんなこと言われる前に着いとかなきゃ…

神奈川から電車に揺られて数十分…
予定通り1時に東京に着いた。
こっちも寒いな…マフラーが暖かい。

｢遅い｣

｢一応､予定通りのはず…なんだけど“ 若ぴっぴ ”｣

｢その渾名､辞めろ…｣

｢えぇー…可愛いから許してよ…｣

｢嫌だ｣

折角(せっかく)、可愛い渾名に文句を言っているのは､私の従弟の日吉若…父方の従弟だ。実を言うと親が事故する前は、『日吉』と言う姓を名乗ってたらしい…お父さんが亡くなり､お母さんは､生き残り病院で未だに眠っている。とりあえず､死別という事だけど生き残っている母…の親であるおじいちゃんとおばあちゃんが世話をしてくれた。なぜ、今の苗字『四ッ谷』になったかと言うとお母さんは､私が見てる限り嫁姑問題なんて無かった…はず…別に『日吉』と言う姓を名乗っても問題は､無い。だけど､父方のおじいちゃんとおばあちゃんは、

｢息子とは､縁を切ってもらい新しい人と結婚してください…そうしないとAちゃんも苦労するから｣

と言う理由で今は､お母さんの旧名『四ッ谷』という苗字を名乗ることになったらしい…こちらもまた､孫思いというかなんと言うか…そこまで考えなくても…お母さんは､お父さんと死別しても離婚するつもりなんて無かったんだろうなぁと今､改めて考えて思う…あの時､ちゃんと自分の口から

『新しいお父さんは、要らない。』

みたいな事を言えてたらこんなややこしい事になんかなら無かっただろうなぁって思う。ま､お父さんが死んで10年…逆換算すると私は､そのときは､5歳児…そんなことを考えることよりも病室で母親の帰りを待つ事しか出来なかった少女だ。

ま、はっきり言って将来のことは大人に任せるしかない。5歳児で世の中のありとあらゆることを知っていたらそれこそバケモンかよって話になる。だから、もし今の状況が最悪なことだとしてもおじいちゃんおばあちゃんを責めるのは筋違い。むしろ、感謝するべきこと。将来のこととか分からないけどそれなりに明るく生きてるつもりだし？かと言ってあんまり他人に自分を深く知ってもらうつもりどころか知って欲しくないって思ってるから今の関係がいい感じなのかもね…