第三話 ページ3
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「せ、瀬名先輩！！聞いてください！！」
「問答無用！！何してるのさマジで！！」
「痛たたた！！頬を抓らないでください！瀬名先輩！」
ほっ。よかった。問答無用で身内の敵は敵になるタイプの人じゃない。一応、あんずは安心した。あんずに詰め寄っていた1年生は、瀬名先輩と呼ばれた美貌の人に引き離され、あんずは上がっていた肩を下ろす。
あ、本当だ。少し離れたところで野次馬みたいな人たちがいる。騒ぎ、というには静かだが。ここは食堂や校舎とは違い人が少ないところだし、服装を見た限り何かのユニフォームだろうか。美貌の人もスポーティなユニフォームを来ているから、同じ部活の人達なのだろう。もしかしてみんなで部活に向かう途中に遭遇したのかな。
「で？俺たちは転校生に『近づかない』ようにしてたでしょ？なのにこのクソガキはさぁ〜」
「痛ただただ！！いい加減離してくださいぃ！約束を破ったのは私の罪ですが 頬を抓られたままだと話せませんし、私は怒っても仕方の無いことが判明したのです！！」
「威勢だけはいいんだから！で？その『怒っても仕方のないこと』って？しょうもないことだったら分かってるよねぇ、かさくん？」
ええもちろん、と胸を張って、かさくんと呼ばれた1年生はびしり、とあんずを指さした。『無作法ですが』という前文句を言いながら。やっぱり育ちがいいのだろうか、見た目からもお坊ちゃん特有の上品さが溢れているけれど。
「未熟なのも無知なのも仕方がありません、ええ、仕方の無いことです。けれど、けれど！！我らが敬愛し崇める『姫さま』のことを──知らないと！！」
「っ！」
「ああ！これほど不敬で恩知らずで恥知らずなことがありますか！！幸運にもあの御方から恩恵を受けているくせに！！司は、私は、許せなくて…！！」
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作者名：名無し18599号 | 作成日時：2024年3月12日 15時
