桜屋敷のお姫さま (ページ2)

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第二話ページ2

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「sit！！なんということでしょう！？あの偉大なる『姫さま』をご存知ないのですか！！？」

あんずはびくりと身体を震わせた。
先程までの、あんずではなく、あんずを通した何かを憎んでいる様子だったのに、今のこれはあんずに向けられた殺意と敵意だった。

「それでも『姫さま』に後を拝命された『producer』ですか！！貴女は幸運にも『姫さま』から名誉ある役目を授かったというのに！？嗚呼司は目眩がしてきました…！！『姫さま』からの役目を放棄し、あまつさえ『姫さま』を知らないという不敬な貴女などに、我ら『Knights』を任せる訳には行きません！！」

誰でもいいから助けて。
『ひぃ』と情けない悲鳴を小さく上げながら、じりじりと後退していた。目の前の1年生が詰め寄ってくるからである。
怖い、けれど。綺麗な顔が目前にあり、あんずは見蕩れてもいた。先程も思ったように、綺麗な顔だがまだあどけない可愛らしさがあるから、図太いと幼い頃から言われ自覚しているあんずは相手の顔を見て感想を抱く程度には余裕があった。というか、英単語の発音が良すぎて、半分くらい何を言われているのか分からないから大丈夫だった。外国語で悪口を言われても通じなければダメージは受けない、というやつ。
相手からの殺意も敵意も本物だ。この子、武士か騎士かなにかなのだろうか。真面目にそうで、本気でその『姫さま』という人の為に私を殺してしまえそう。その証拠にあんずは、恐怖に手が冷えきっている。これがもっと、例えば、年上であどけなさが全くない美人とかなら──

「ちょっっっとかさくぅん〜！？何騒ぎなんて起こしてんのさぁ！？！」

ああ、そうそう。こんな感じ。他を寄せつけない、人間とは思えないような、恐ろしささえ感じさせる美貌。こんな人にさっきされていたような言動されたら、あんずはきっと恐怖で動けなくなってしまう──って。あ。

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