第二話 ページ4
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「(ママくんに一言行って、今日は帰りましょうか。やっぱり、今はちょっと、レオがしんどそうですし…)」
繋いだ手が震えている。それに握り返して思考を巡らせながらも、Aは仏のような微笑みで悠然と佇んでいた。
「そうか…だが、停学期間を終えても登校して来る気配がないが、いったいどういう了見だ。みんな心配していたぞ──」
あ、もうだめだ。
Aは後ろから息の吸う音が聞こえてそう思った。
「ああぁぁ!色々思い出しそうで頭痛がする!せっかく今日はAたんとデートだったのに!もう帰る!」
駆け出したレオにAはついて行く。
引き留めようとする敬人に手を振りながら。
「(……ぐう、行ってしまった。あいつら、本当に付き合ってないんだろうな。恋人繋ぎやぴったりくっついて歩いていることは、去年に見慣れたはずだが……こうして久しぶりに見てみると、本当に恋人──というか、夫婦のようだったな…。)」
黙り込んで沈みこんだレオに、Aは歌を口ずさむ。
小さく、周りに聞こえないように。
レオはAの歌声に安堵して、高揚して、気づけば笑っていた。なんて素敵な歌声なんだろうって。
そんなレオの表情にAも笑顔になって、ふたりは先程よりももっとずっと近づいて、頬を寄せて歩いていた。
「〜♪〜♪〜♪」
「んん?おおっ、ママ!みけじママ〜!おれだよレオだよっ、やっほ〜☆」
レオがママ──斑に駆け寄った。当然、手を繋いでいたAも駆け寄ることになる。
「……?おおレオさん!Aさん!待ってたぞお!元気そうで何よりだなあ!おいでおいでおいで!歓天喜地!ママが抱きしめてあげよう!」
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作者名:名無し18599号 | 作成日時:2024年3月12日 14時