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下校時間が迫り、少しずつ人が減ってきた頃。
「····そろそろ帰るか。」
「そうだね、ありがとう。
私A組でもないのに教えてもらっちゃった。」
「別にいい。隣でそうしてられたら困るだけだ。」
開いていた教科書、参考書、資料集を閉じ、片付ける。
使っていた本も元に戻し、図書室を出た。
「じゃあ、浅野くん。じゃあね、ありがとう。」
「ああ。」
昇降口の辺りで浅野くんと別れ、それぞれ別方向に帰る。····のだが。
「A。」
「····あれ、カルマじゃん。どしたの?帰らないの?」
「ちょっと来て。」
いきなり私の手首をつかみ、人気の無いところへ連れ出した。
表情はなく、手首を掴む手にも力がこもっていた。
「っ、ちょっと、痛い。」
そう言うが、離してはくれない。
「·····、痛いってば!離して!」
その手を半ば振り払う形で離した。
手首にはくっきりと赤い痕が付いている。
校舎裏だった。
「ねぇ。」
カルマは私を壁に追い込み、此方を睨んだ。
·····何、これ。
背筋が凍る。
怖い、冷たい。
その顔はあまりにも無表情だった。
「····あれ、誰。」
「え····?」
「え、じゃない。あれ誰かって聞いてんだよ。」
浅野くんのこと····?
でもなんで。
「何でカルマに····」
「へぇ、言えないんだ。ふうん。
彼氏?それとももっとヤバイヤツ?何?」
「浅野くんはその····」
ヤバイ、何て言えば良いんだろ。
友達····?
でも今日会ったばっかだし。
じゃあ何····?
「何?」
「初対面、です。」
「はぁ?そのわりには随分と仲が良いんだね。」
「いや、その。」
····大体私、何でカルマにこんなこと言ってんだろ。
考えるほどわからなくなってきた。
そもそも何でカルマはこんなこと····
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作者名:虹四葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buodsao/
作成日時:2021年8月7日 21時