壱：七不思議の花子ちゃん

：三怪異 ページ4

×××




蕐「あー、バレちゃったね」



私は態とらしく舌を出す。




蕐「そのとーり、私怪異なんだよ」



頭を照れたように掻く。




八「か、怪異でも可愛いね……」


蕐「……仲良くしてくれる？」


八「あったりまえだよ！！！」


蕐「んふふ、ありがとう」



抱きついて来ようとする寧々。



でも私の体は透ける。



八「え……」


蕐「ごめんね……怪異の時はこうなっちゃうの」


八「そうなんだ……」




何処か悲しそうにする寧々。



ま、私からなら触れるんだけどね。





蕐「あ、で、寧々は願い事をしに来たんでしょ？」




するとやっとか、という顔の


花子くんがトイレから降りてくる。





花「君の言う通り、俺は男だし、俺達は二人だよ」



その横で後ろで手を組み


寧々の顔を覗きこむ私。






蕐「でも花子くんの性別と人数以外は寧々が聞いた噂通りだよ」





花「何か一つを代償に呼び出した者の願いを叶える、君にもあるんだろ？」





蕐「聞かせてくれない？寧々の願い事」





八「……本当に」



ん？




八「ただの変態幽霊じゃないのね？」




私に頭を叩かれたようなショックが。




蕐「寧々、そんな風に私を見てたナンテ」


花「もういいサヨナラ」




スウ……と揃って消えていく私達。




八「うそうそ、Aちゃん誤解しないでー！男の子の花子さんもかっこいいから！」




花「かっこいい……」


蕐「うん、わかってたよ、寧々」




にしても花子くん単純だなあ。




ノートとペンを取り出して……



花「それじゃーお名前と願いをドーゾ！」





もう一度言う。



単純だなあ。





八「はいっ高等部一年A組八尋寧々です！」



元気だなあ。





私はトイレに腰掛け



頬杖をつきながらそう思う。



八「好きな人と今すぐ両想いになりたいです！」



花「ヤシロね、願い事は恋愛成就と……」





蕐「相手は源先輩だよねー」



八「うん！……ってAちゃん！！！」



蕐「いいでしょ、どうせバレるんだし。それと……」




私はトイレから浮き


寧々の手を握り


顔がくっ付くんじゃないかという位の


距離にまで近づけて。





蕐「花子ちゃん、でしょ？」




と、やってみせた。



花「花子ちゃん天使」


と花子くんの声が聞こえたが知らない。



当の寧々はというと。



八「は、花子ちゃん……」



顔を真っ赤にして焦っていた。



蕐「んふふ、寧々カワイーね」


八「は、花子ちゃんってＳだあ……」




そうでも無いけどなあ。





×××

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