壱：七不思議の花子ちゃん

：二十八怪異 ページ29

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蕐「え」




ふわりと屋上の地面に押し倒される。



最近流行りの床ドンというやつだろう。





少女漫画でしか見た事がなかったこの状況。





正直壁ドンやキスも


少女漫画みたいな話だけど。





花「これでAのかわいー顔が見れるね？」



んふふ、と笑う大胆な普。




蕐「..どうしたら上からどいてもらえる？」




花「んーそうだなぁ..Aからキスしてくれたら！！」




蕐「わ、わ私から？」




花「Aなら出来るよねぇ..？」





ゲスい顔だ。






なんかムカつくなぁ。




私もキスくらい出来るし。








私は普の制服の胸辺りを掴み




引っ張って..




キスをした。





倒れ込んでくる普。



..でも可笑しいな。


唇にキスした筈なのに、唇の感触じゃない。






花「良く出来ました..と言いたいけどズレてるよ？」



揶揄う様にニヤニヤと笑う普。





花「Aがしたのはこーこっ」




普の顔が迫ってくる。



ちゅっとわざと音を立ててキスしたのは



唇に重なるか重ならないか位の


唇の真横だった。




花「真っ赤になっちゃって..かわいー..」




唇からズレてたけど


可愛いAからのキス貰えたしいいや


よいしょっと言いながら私を起こす彼。




花「わぁ..見て見て、空！！」




蕐「おー..綺麗..」




いつの間にか夜が来ていた。



蕐「..もう帰ろっか」




花「うん..そうしよっか」



私は星を見て泣きそうになった。



何故って？それもまた今度話すね。






私達は指を絡め合い屋上扉を開ける。



そして旧校舎の私達の帰るべき場所へ。




花「帰ったらちゃんと唇にしてね？」




唇をツンとつきながら首を傾けている。




なんか変に色っぽいからドキッとする。




蕐「..分かった..」



花「え！本当に！！やったー！Aからの唇にキッス〜」



蕐「五月蝿い」




あはは、と笑う普。



普との初めてのデートは


夕から夜までの短い時間だったけど



大切な何かをギュッと詰めたような


甘酸っぱいかけがえのないものになりました。




え？この後唇にキスしたのかって？




..しましたよ。





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