壱：七不思議の花子ちゃん

：十三怪異 ページ14

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蕐「失礼しますー……」




？「ヤット来タカ……」




蕐「授業抜け出して来てやったんだから感謝しなよ」



？「感謝？我ノ使イヲ倒シタカラトイッテ調子ニノルデナイ……ッ！！」





花「あれは……狐の気狐だね」



蕐「という事は朝の野狐の一つ上の狐か」





ざっと説明すると



狐にもランクがあって



天狐、空狐、気狐、野狐の順で



天狐が一番ランクの高い狐になる。






で、私達が相手にしているのは気狐で



野狐の一つ上の狐だ。







蕐「……君気狐なのにそんな偉そうな事言って大丈夫？」





気「ナッ……気狐ダカラダトッ……？」




花「天狐が見てるかもしれないよー？」





花子くんが窓の外を指さす。




気「ハッ……天狐様……ッ」



蕐「これで今大人しく去がるなら見逃してあげる……けどここで去がらないなら……分かってるよね」




私は刀を取り出し気狐に向けて見せる。



気「ヒッ……」




花「どうするの？」





気「クッ……今回ハ見逃シテヤル……ッ」






するとすっと消えて行った気狐。





花「おー、流石Aー」




窓枠に座り態とらしく拍手をして来る。




蕐「まだ朝の野狐の方が精神的にも体力的にも強かったよ」





気狐の下の野狐の方が強いって


どういう事なのよ。




花「神様も理不尽だよねー」




よっと、とか言いながら枠から降りてくる。




蕐「……そうね」



乱れた髪を直しながら帽子を被り直す。





丁度キーンコーンカーンコーン、と




休み時間のチャイムが鳴る。




蕐「丁度鳴ったね、寧々の所行こっか」





私は教室から出ていこうとする。





花「……A」




蕐「ん？……！」




腕を突然引かれ、唇が重なる。




蕐「ちょっ……」




花「お疲れ様のキスだよ」




蕐「……あ、あっそう……ッ」




私は恥ずかしさのあまり出ていこうとする。






でもここで何も言わずに出ていくのは




少し癪だったので






蕐「……ありがと、普」





と言った。





花「！？.……Aがデレた……！！あー！A好きだよー！！」





蕐「う、五月蝿いっ！」





後ろから抱きつこうとして来る花子くんに



追いつかれないように



私はA組へと全速力で移動した。



……顔が赤いのバレたら恥ずかしいからね。





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