好きが1個。 ページ2
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お昼休み。私はお母さんお得意のお弁当を持ち、一階中央エリアの食堂へ行っていつもの定位置へつく。
辺りは食券を買って定食やら何やら食べる人がわんさかいて、その大半は6人席で友達と座るっていうのがまぁ当たり前な光景。
…が、私はというと、目の前には壁一面のガラスを挟んで綺麗に整備された中庭が見えるぼっちのカウンター席。
真ん中でも端の方でもなく、曖昧な場所にぽつんと一人座り、お弁当を美味しく頂くというのが一連の流れだ。
決してぼっちではないし勿論お友だちだっている。
私コミュ力だけはずば抜けている方だし、友達100人どころか持ち前のキラキラスマイルで言葉の壁とかぶっ壊せそうなぐらい。
そう遠くない未来に異国人とホムパしてるかも。
「…うげ、トマト…」
パクパク食べ進めていると底に埋まっていた赤色の物体。
言わずもがな、子供は多くが嫌っているトマトだ。
昔から苦手な野菜は克服してきたもりだけどこれだけは無理。
口が受け付けてくれないっていうか、何て言うか…。
こういうのを“食わず嫌い”って言うんだっけ。
食べようか残そうか、箸でトマトを摘まんだままにらめっこを続けていると、カタンと隣でトレーが置かれた音。
「ジミン君!」
JM「!?
…あぁ何だ、君か……」
「ふふ、今日は来ないと思ってた」
JM「僕にお昼を食べる権利は無いと?」
はぁ、と1つ溜め息をついて、めんどくさそうに私を見ると、すぐに持ってきたご飯に手をつけるジミン君。
それはまるで、“もう僕に構うなよ”とでも言ってるみたいで。
不服そうな顔を暫し見つめていたけど、これで話しかけて嫌われたらアウトだから、諦めて私も残りのお弁当を食べ進める。
二人食べ終わるまで、沈黙は続いた。
「……はー、…」
ジミン君が席を立った後、私は空席になった2つの椅子をぼーっと見つめる。
私がここに来る理由はジミン君に会えるからであり、喋れたのならもうそれは奇跡中の奇跡。
彼がここにいると知って、もう半年はこの関係を引きずっている。
そして必ず彼は私との間に席1つ分を開けるけど、いつしかその短くて長いような距離が無くなれば、なんて。
でもいつかって、いつだ。
具体的な数字が浮かばない私は、心の中で小さくツッこんだ。
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湯海(プロフ) - もゆさん» 胸キュン!その言葉待っておりました!!兎に角ツンデレが大好物の私なので、だいぶツンツンしすぎたかなぁなんて反省してましたが、ジミンの小さなデレにときめいて貰えて嬉しいです(*^^*)どうか、もゆさんにも私にも素敵な恋が訪れますように…(合掌) (2020年11月18日 21時) (レス) id: 72dd3534eb (このIDを非表示/違反報告)
もゆ - っもう、胸きゅん度が致死量を超えました!!!!!こんな恋がしたいと本当に思える作品でした…!素敵な御話、ありがとうございました! (2020年10月19日 22時) (レス) id: a156f1d191 (このIDを非表示/違反報告)
湯海(プロフ) - にこさん» わわ、こんな長きに渡って完結した作品を最後まで読んで頂きありがとうございます。°(°´д`°)°。新作もぼちぼち書いておりますので…是非またコメント欄でお会いしましょう(*^^*) (2020年9月14日 18時) (レス) id: 72dd3534eb (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!これからも応援しています! (2020年9月13日 21時) (レス) id: ca2700ca3f (このIDを非表示/違反報告)
湯海(プロフ) - ひーちゃんさん» ふふふ、もう我慢出来ずにいきなりキスシーン書いてしまいました(照)そして伝えきれない程愛してるのはこちらの方です!!更新する度にコメントをくれてありがとうございます(*^^*)本当に本当に本当にひーちゃんさんが大好きです(*^^*) (2020年9月13日 13時) (レス) id: 72dd3534eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湯海 | 作成日時:2020年7月30日 19時