拝啓 お兄ちゃん様【名探偵コナン】

11月7日 ページ6

研二くんから渡された煙草セットを眺めながら思う。



あの人禁煙とか無理じゃね？



と。


失礼だと分かっているけど研二くんヘビースモーカーだからね？どーせまた新しく別の煙草買ってんじゃないの？
私は煙草を吸わないから本当に持っているだけだし。

お兄ちゃんが吸ってる時に興味本位で吸わせてもらったけど盛大にむせたんだよね。くそ不味かった。もう吸わない。




プルルル プルルル




無機質な音が携帯から出る。画面を見ると「お兄ちゃん」の表記。あれ、今仕事中のはずなのに珍しいな。
不思議に思うけど惹かれるようにボタンを押した。




『もしもしお兄ちゃん？どーした、』

「ハギが死んだ」

『……は？』




な、にそれ。笑えないよお兄ちゃん。爆発に巻き込まれた？え、なんで、わたし、私まだ研二くんに煙草とライター返せてないんだよ。まだ、何も返せてないんだよ。ねぇ、お兄ちゃん、









嘘だよね？






『っう、やだ、やだやだ、研二くんっ』

「A、」

『おにいちゃ、っ』

「A。」




お兄ちゃんの真剣な声にびくりと体を震わせる。知らないうちに溢れていた涙は止まることを知らなかった。




「俺が、ハギの仇を取るから。」

『っ、』

「だから泣くな」




今にも壊れてしまいそうなほど切なげな声に胸が締め付けられた。ごめん、お兄ちゃんが1番泣きたいはずなのに。研二くんの1番近くにいたお兄ちゃんが、1番____





『…おにいちゃん』

「なんだ？」

『今日、お兄ちゃんち行ってもいい？』

「あぁ。おいで」




ぐすりと鼻を鳴らした。
もう、泣かない。お兄ちゃんが泣くまでは、絶対。




「……Aは」

『？』

「Aは、俺の前からいなくならないでくれ」

『…いなくならないよ。だって私、お兄ちゃんとずっと一緒にいるって、約束したもん』

「ふは、それガキん時の話だろ」

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