大人の余裕 ページ48
あ、やったわ。
うっかり口を滑らせて「彼氏と同棲している」と言ってしまった私は歩美ちゃんや園子ちゃんの悲鳴を浴びた。
うちに行きたいとわあわあ騒ぐ子供たちを見て観念した。
まあ、見られたら困るものもないし、いっか。
零くんも帰るか分からんしな。
一応零くんに【子供たちが遊びに来るよ】とメールを送ってからみんなをうちに案内した。
・
「「おじゃましまーす!」」
『どーぞー』
元気だなあ、若いって素晴らしい。
物色し始める園子ちゃんをすこし叱って、みんなにお茶を入れた。
「Aさんっ、この人ってAさんのお兄さん?」
『そうだよー、かっこいいっしょ?』
低めの棚の上に置いてあるのはいつぞやに撮った私とお兄ちゃんのツーショット。
こうしてみると、写真の中の私はよく笑っていた。
子供たちは何千万人もの人を守るために亡くなったお兄ちゃんに興味津々だった。
「Aさんそっくりですね…!」
「イケイケじゃんか!」
「あれ、この箱…」
歩美ちゃんが写真の近くにある箱を開けようとする。
あー、それは駄目だよ。
蓋がもちあがる前に上から押さえつけた。
『これは駄目』
「なんでですかー?」
「はいはーい!あたしも気になる!…はっ、もしかして安室さんからのラブレター?!」
うーん、零くんからではないかなあ。
ってか、私が書いてるやつだし…。
『お兄ちゃん宛にね、書いてるの』
そう言えばみんな黙ってしまった。
そりゃそうだ。故人に手紙を書くなんて、読まれる訳でもないのに。
『今日は暑かったよ、とか。仕事が大変だった、とか。……本当に、なんでもない事の報告をしてるの』
「ご、ごめんなさい…」
『気にしないで。…あ、ハロ。起きたの?』
タイミング良く現れたハロのおかげで、またいつものような空気に戻った。
みんなふわふわなハロに夢中だ。
高校生組と雑談しながらその光景を眺めていると、玄関の戸が開く音がした。
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あすか@暇人(プロフ) - 初コメ失礼します。続編突入おめでとうございます!続編のリンクをこちらと繋げていただけると嬉しいです…。 (2022年6月3日 20時) (レス) id: a2dc34f4dc (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - milkさん» じんぺーちゃん妹バカなんです笑 (2022年5月24日 7時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
milk(プロフ) - ヤバい、最後の松田さんのところ最高に面白い (2022年5月23日 21時) (レス) @page28 id: 7df2c50704 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!頑張ります! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年5月22日 23時) (レス) @page27 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2022年5月20日 19時