第6話 ページ6
緑谷の背中を見送ったAは、くたりと壁に寄りかかった。
痛い。それはもう、身体中が痛い。
クロノの言う通り普段にないほど暴れたものだから、傷口が開いたんだろう。
じくじくと痛んで、血が滲むのを感じる。でも何時までもこうしている訳には行かなかった。
ゆっくりと立ち上がったAは、出口に向かって歩き出す。
『……お家が、無い…』
のろのろと確実に歩を進め、やっとの思いで外へ出たAは予想以上の被害に呆然とした。
死穢八斎會の拠点であった祖父の家は半壊状態。それに加えて住宅も巻き込み地下へ崩れ落ちている。
穴の近くまで行けば大きな瓦礫の近くに寄りかかるサラリーマンのような人物を見掛ける。
彼こそ今回の指示監督。サー・ナイトアイである。
治崎との激闘の末、腹部には大きな穴が空き、足からもとてつもない量の出血をしていた。
ナイトアイはAが瓦礫にぶつかったことに気がつき目を開ける。もう意識を保つことが苦しい。どうせ死ぬのだ。死んでしまう。
臓器が無くなって、きっと血も足りなくて。今から緊急搬送されたって助かる見込みはゼロに等しい。
そう悟っているからこそ、ヒーローとして助けなければながらなかった人物の無事を確認したかった。
「……君は」
『ﾋﾞｸｯ』
掠れる声で話しかければ大きく肩を揺らす。治崎に囲われて過ごしていたAは人間不信になりつつあり、ナイトアイに対しても、ヒーローということは分かっているが本当に安全な人なのか分からずにいた。
そんな様子を見てナイトアイはふぅ、と息を着く。
当たり前と言えば当たり前の反応である。よく間合いまで近づいてきてくれたものだ。
「無事、ですか…？」
少しばかり身構えていたAは予想外に質問に一瞬思考が止まる。
ヒーローというのはお節介で出来ている。自分が重症だろうが、怖かろうが、一般市民のために笑顔を絶やさず安心させることが必要。
Aも中々に重傷であるが、それでも内蔵が無くなっているナイトアイには劣る。
Aは控えめに頷くと、ナイトアイは少し表情を緩める。
「無事なら、良いんです」
『……ぁ、あの』
「？」
『怪我、大丈夫…？』
そこまで問うて、Aは(大丈夫なわけないだろう)と自答する。
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かしわ(プロフ) - 名無し84302号さん» 拝読ありがとうございます。何回も読んでくださってるなんて嬉しいです😭書きたい話も沢山ありますので、まだまだ頑張りまあああああああああすっ！！！！！(狂) (2023年1月13日 0時) (
レス) @page49 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 素敵な小説を作って下さりありがとうございます！もう、好み過ぎて何回も読ませて頂いております！体調に気をつけて更新頑張って下さい( ´ ▽ ` ) (2023年1月11日 22時) (レス) @page48 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 虹彩さん» ｩ"ﾜｧｧ!!!気づいて下さった方がいた！嬉しいです！あ、拝読ありがとうございます。ここねぇ、とってもお気に入りなんです。3人の愛が見えますよね。 (2023年1月8日 15時) (レス) @page44 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
虹彩(プロフ) - 最後の「いなくならないでね」「〇〇ちゃんこそ」の部分がヒロアカのED「sketch」の歌詞になぞらえているのかなぁと感じてすごく胸に響きました。これからも投稿お待ちしています。 この作品のいちファンより (2023年1月8日 1時) (レス) @page44 id: 7d88959bdf (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - かしわさん» 何それめちゃくちゃ好みです！！！！ (2023年1月3日 21時) (レス) id: a3f5eb2b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年12月4日 19時
