第39話 ページ39
「ちょっと顔がいいからって調子乗んなよ。」
「そーそー。だからね、あたし達考えたの。あんたが醜ければ醜いほど、あの人たちはあんたを捨てやすくなる」
｢捨てる｣という単語にAは体を固くした。醜いと、捨てられてしまう。そう、だから髪を切る。だから血を流させる。全ては、好きな人に振り向いてもらうために。
温かい環境の中で、ようやく絆されていた心がどんどん冷たくなっていくのを感じた。
抵抗もなくただ呆然としているのを見て、もう1人がポケットからハサミを取りだしてAの髪を乱暴に掴んだ。
『っ！』
刃物を向けられる恐怖心が湧き上がって、掴まれた髪を離すように頭を振った。
「ちょ、あっ！」
ここにきて暴れるなぞ思わなかった女生徒は髪を切ろうとしていたはずが、Aが暴れたおかげで狙いがずれて刃が額に当たる。
『ぃ、っ！』
短く悲鳴を上げて切れた額を抑えた。
深く刺さった訳では無いものの、額と言うことで血が止まらない。
手についた血を見ると、どうしても以前の記憶が呼び起こされてしまって。Aはへたりとその場に座り込んだ。
それだけでは足りず、少しばかり血のついたハサミをAの髪に当てて。今度は確実に。醜く、あの人に嫌われるように。捨てられてしまえるように。
幼馴染を想う嫉妬心によって、雄英に来て整えられた白く綺麗な髪がはらりと地に落ちた。
元の長さのままであったり、極端に短くなってしまったり。
助けを呼ぼうともしないAに気を良くしたのかどんどん歪に切り刻んでいく。
「何してやがんだクソモブがぁ！！！」
「Aちゃん！！」
すると爆豪の爆破によって手の動きが止まる。妬みの元となった人物の登場に今度は女生徒の方が顔色を悪くさせた。
爆豪が女生徒の体を取り押さえ、緑谷が座り込んでいるAに駆け寄り話し掛ける。
「Aちゃん、無事？！」
『ゃ、____な、…い』
聞きたかった声は本当に小さくて、掠れていて。聞き取れずにいた。それでも、離れたりなどしない。
『さわら、ない、で』
「……ぇ」
『わたし、汚いから。出久が、よごれちゃう、から』
肩に添えた手を振り払われて、緑谷は強い衝撃を受けた。それを見ていた爆豪も勿論。
こぼれ落ちた水が地面にしみを作った。
『ごめん、なさぃ』
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かしわ(プロフ) - 名無し84302号さん» 拝読ありがとうございます。何回も読んでくださってるなんて嬉しいです😭書きたい話も沢山ありますので、まだまだ頑張りまあああああああああすっ！！！！！(狂) (2023年1月13日 0時) (
レス) @page49 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 素敵な小説を作って下さりありがとうございます！もう、好み過ぎて何回も読ませて頂いております！体調に気をつけて更新頑張って下さい( ´ ▽ ` ) (2023年1月11日 22時) (レス) @page48 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 虹彩さん» ｩ"ﾜｧｧ!!!気づいて下さった方がいた！嬉しいです！あ、拝読ありがとうございます。ここねぇ、とってもお気に入りなんです。3人の愛が見えますよね。 (2023年1月8日 15時) (レス) @page44 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
虹彩(プロフ) - 最後の「いなくならないでね」「〇〇ちゃんこそ」の部分がヒロアカのED「sketch」の歌詞になぞらえているのかなぁと感じてすごく胸に響きました。これからも投稿お待ちしています。 この作品のいちファンより (2023年1月8日 1時) (レス) @page44 id: 7d88959bdf (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - かしわさん» 何それめちゃくちゃ好みです！！！！ (2023年1月3日 21時) (レス) id: a3f5eb2b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年12月4日 19時
