第36話 ページ36
『あれ…？』
Aが共有スペースのソファの下にある書類に気が付いたのは平日の昼間の事だった。
壊理と遊んでいた休学中の通形に見せれば、相澤の忘れ物だろうと。
『届けた方がいい、ですか…？』
「そうだね…でも壊理ちゃんがいるから、えーっと」
『あ、あの、私届けますっ』
通形はAの対人恐怖症を懸念して別の届ける方法を考えた。壊理をAにお願いして通形自身が届けようと思っていた矢先、Aが自ら立候補した。
Aの恐怖症は良くなりつつある。A組の生徒を対象にリハビリをしていたら、余程のことがない限りパニックを起こすこともなくなった。
けれど通形は心配だった。
突然知らない生徒ばかりの場所に行って、対処ができるあの幼馴染たちが居なかったらと思うと、どうにも許可を出し渋ってしまう。
「……なら、授業中に行こう。3人で！」
これが通形の出した最善策だった。
何かあれば通形が人を呼びに行けばいい。気の知れた者が着いていればAの精神も安定するだろう。
そうと決まれば早速準備開始だ。といっても、忘れ物の書類を持って行くだけなのだが。
Aが書類を持って、通形が壊理と手を繋いで。
校舎までの道を歩く。
近頃はAも外を出歩くことが多くなった。寮の中で怯えていた頃とは、確実に変わってきている。
秋風を肌に感じながら校舎へ入り、職員室を訪ねた。
「失礼します！相澤先生はいらっしゃいますか！」
「彼なら体育館でヒーロー基礎学中よ。3人揃ってどうしたの？」
『えと、書類を、届けに来てて…』
対応したミッドナイトに書類を見せる。それは確かに今日の会議で必要なものだった。
「置いておいてもいいけど、それは届けた方が良さそうね…。3人ともお願いできる？」
「もちろんです！」
「はいっ」
『頑張ります…！』
元気のいい返事にミッドナイトは笑顔になった。
通形が場所を知っているから、そのまま3人は体育館に向かう。
「仕事中の先生を見るのは初めてじゃないかい？」
「うん…あの、ルミリオンさん」
「？」
「お姉ちゃん、どこ…？」
途端に不安げな声を出した壊理に、通形は止まって辺りを見回す。
……居ない。
何処にもAが居ない。
それが分かると通形はドッと汗を吹き出した。なんで、なんで居ない？敵？否、警備は完璧なはず。なら、迷子か？
ぐるぐると思考は巡れどAの姿は見えてこない。
通形は壊理を抱えると目的地である体育館に走り出した。
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かしわ(プロフ) - 名無し84302号さん» 拝読ありがとうございます。何回も読んでくださってるなんて嬉しいです😭書きたい話も沢山ありますので、まだまだ頑張りまあああああああああすっ！！！！！(狂) (2023年1月13日 0時) (
レス) @page49 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 素敵な小説を作って下さりありがとうございます！もう、好み過ぎて何回も読ませて頂いております！体調に気をつけて更新頑張って下さい( ´ ▽ ` ) (2023年1月11日 22時) (レス) @page48 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 虹彩さん» ｩ"ﾜｧｧ!!!気づいて下さった方がいた！嬉しいです！あ、拝読ありがとうございます。ここねぇ、とってもお気に入りなんです。3人の愛が見えますよね。 (2023年1月8日 15時) (レス) @page44 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
虹彩(プロフ) - 最後の「いなくならないでね」「〇〇ちゃんこそ」の部分がヒロアカのED「sketch」の歌詞になぞらえているのかなぁと感じてすごく胸に響きました。これからも投稿お待ちしています。 この作品のいちファンより (2023年1月8日 1時) (レス) @page44 id: 7d88959bdf (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - かしわさん» 何それめちゃくちゃ好みです！！！！ (2023年1月3日 21時) (レス) id: a3f5eb2b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年12月4日 19時
