第3話 ページ3
それから沢山のヒーローが毎日励んだ。
幼き少女らを助ける為、心が折れかけても訓練を怠ることは無かった。
自分たちよりも何倍も苦しいあの子たちのために。
「突入ーっ！！」
当日。
空から、中から、沢山のヒーローが死穢八斎會の拠点である屋敷に突入する。
作戦には学生も参加し、相応の活躍をしていた。
着々と歩を進めていく中で、やけに人数の多いエリアがあった。
「お嬢の所へは行かせねぇぞぉ！！」
どうやら誰かを守っているようで、皆が口々に｢お嬢｣と呼んだ。
一方で、その通路のずっと奥。お嬢と呼ばれる少女、橘 Aのいる部屋では、先程から鳴り続ける爆音に顔を顰めていた。
その部屋は元凶である治崎廻の研究室で、つい先程まで血肉を取られる痛みに耐えていた所だった。巻かれた包帯は既に血が滲んでいるし、そもそも粗末故解けかけていた。
(…何が、あったんだろう)
腕も、足も、胴体もが傷だらけで。
同じく研究に使われていた壊理よりも酷かった。何年も前から痛みに耐えてきた。辞めてと訴えれば打たれた。
そんなことを繰り返している内に、いつしか抵抗することをやめた。
元よりよく笑っていたAは、今では全てを諦めたように瞳に影を落として部屋の隅に蹲った。
すると急に部屋がぐにゃりと歪む。
『え、っ？！』
どこかへ連れていきたいのか、歪んだ壁はAを守るように囲い、そのまま動き出す。
傷が未だ塞がっていない状態で急激に動かされた為に痛みに嗚咽が漏れた。腕が治るまでは足を、足が治るまでは胴体を、とやられて行くうちに傷跡はどんどん深くなる。
"直されても"綺麗にはならなかった。
Aは服に血が滲む感覚を覚えて腹部を抑えた。
痛い、痛い。どうしてこんな、私だけが。
そんなことを思ったって誰も助けてくれやしない。分かってる。分かって、いるのだ。
『っ』
「お嬢！」
『玄野、ぃ、ｯｹﾞﾎ』
囲んでいた壁はAをぺっと吐き出すように別の部屋へと落とす。悲鳴を上げる間もなく、狙ったようにいた玄野針____基、クロノスタシスに受け止められた。
強い衝撃。抱き止められた拍子に大きく喀血をした。体内のどこかで血管が破れたのだろう。壊理よりも細かく慎重に研究を進めるべく、大量の血を取られたから。
Aはくらりと目眩を覚えた。
「っA！！！！」
そんな時、聞き覚えのある声がAの耳に届く。
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かしわ(プロフ) - 名無し84302号さん» 拝読ありがとうございます。何回も読んでくださってるなんて嬉しいです😭書きたい話も沢山ありますので、まだまだ頑張りまあああああああああすっ！！！！！(狂) (2023年1月13日 0時) (
レス) @page49 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
名無し84302号(プロフ) - 素敵な小説を作って下さりありがとうございます！もう、好み過ぎて何回も読ませて頂いております！体調に気をつけて更新頑張って下さい( ´ ▽ ` ) (2023年1月11日 22時) (レス) @page48 id: 81c0b10d37 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 虹彩さん» ｩ"ﾜｧｧ!!!気づいて下さった方がいた！嬉しいです！あ、拝読ありがとうございます。ここねぇ、とってもお気に入りなんです。3人の愛が見えますよね。 (2023年1月8日 15時) (レス) @page44 id: 3fcb1b6071 (このIDを非表示/違反報告)
虹彩(プロフ) - 最後の「いなくならないでね」「〇〇ちゃんこそ」の部分がヒロアカのED「sketch」の歌詞になぞらえているのかなぁと感じてすごく胸に響きました。これからも投稿お待ちしています。 この作品のいちファンより (2023年1月8日 1時) (レス) @page44 id: 7d88959bdf (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - かしわさん» 何それめちゃくちゃ好みです！！！！ (2023年1月3日 21時) (レス) id: a3f5eb2b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年12月4日 19時
